「時をかける少女」「サマーウォーズ」と傑作を連発した細田守。以降も「バケモノの子」「未来のミライ」と見てきたわたしだけれど、この作品だけは見逃していた(「竜とそばかすの姫」も未見)。なんで?
キャッチコピーはみごとなもので、
「わたしが好きになった人は、おおかみおとこでした」
娘が学生時代に研究していた異種婚姻譚の典型。異形のものがどう排除されるか。そしてどう凌駕するか。あるいはどう凌駕できないのか。
しかしその意匠をはぎ取ってしまえば、むき出しの母子ものに感じられたから。ハンカチ3枚ご用意を。コウノドリでお分かりのようにそっち系は苦手なんだよね。
それはある部分では当たり、ある部分では外れていた。この映画が意識したのは、むしろ(王の継承という意味で)「ライオン・キング」ではないか。ってことは「ジャングル大帝」?なるほど日本アニメの王道を歩む作品でもあったわけだ。
魅力的だったのは父親である狼男。孤独でクールな学生という造型は、この作品まで脚本を書いていた奥寺佐渡子さんの意向だろうか。
声優はおそろしく豪華で、宮崎あおい、大沢たかお、黒木華に、菅原文太、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、上白石萌音が加わる。
これって実写だったらどれだけの金がかかったんだろう。もちろん十分にペイできる興行成績を上げ、日本テレビにとっても東宝にとっても、結果としてジブリ以外の柱が確立できることになったわけだが。
親離れ、子離れが、まさしく物理的に行われるラストはおみごと。
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