さて、クミアイ情宣シリーズ。今回は図書費の行方と事務職員などの義務教育費国庫負担制度がいかに似通った経緯をたどっているかを……
発行は2002年6月26日でした。
学校の本代、予算化進まず
学校図書を充実させるために今年度、国が投入した130億円が、3分の2近い自治体で実際には本の購入に使われず、ほかに“流用”されようとしていることが、全国学校図書館協議会の調査でわかった。
昨年末に「子どもの読書活動推進法」が施行され、今後5年間で蔵書整備に計650億円が交付される予定だが、今のところ各自治体は図書購入に必要な予算措置をしていない。このままでは制度の趣旨が骨抜きになりかねず、文部科学省では「財政状況が苦しいのはわかるが、子どもたちのために有効に使ってほしい」と気をもんでいる。
文科省の調査では、国が定めた標準の蔵書数を小学校では69%、中学校では78%が達成しておらず、6000万冊以上が不足しているのが現状だ。
同推進法は、子どもの読書環境の整備を国や自治体の「責務」と規定。同省でも、今年度からの5年間計650億円を学校図書整備費として地方交付税化し、4000万冊の蔵書を増やす方針で、小学校では1学級あたり年間約2万3000円、中学では約4万5000円分の本が購入できる計算だった。
ところが、同協議会が4月末現在で全国の市区町村に聞いた結果、回答した1030の自治体のうち、同整備費を「当初予算に上乗せ」するか「補正予算で計上する」としたのは計30%で、65.4%が「予算化の予定がない」だった。これは、地方交付税の使途が自治体の裁量に任せられているためで、自治体が改めて予算化しないと、本の購入に充てることはできない。交付金は一般財源に紛れてしまうため、図書費に使われない分の“流用先”は特定できないが、本が足りないと担当者が訴えても「緊急性がない」と相手にされない……
2002年6月10日(月)読売新聞社会面
……この報道によれば、各市町村の今年度予算の中には、この「学校図書整備費」が含まれているはず。この趣旨を活かすとすれば、小学校1学級当たり23,200円、中学校は44,700円が“上乗せ”されるか“補正で対応”されなければならないことになる。みなさんの学校ではいかがですか?図書予算、増えていますか?増えていないとしたら、その市町村予算の、他の費目に“回され”たことになる。
善し悪しは別にして、交付税措置とは、実はこんなことだ。国の施策として学校図書館の本を増やそう、とブチ上げても、その市町村や、議会の意向によってその意図はいかようにも変形させられてしまう。善し悪しは別、と言ったのは、地方分権とは、このような面を確実に含んでいることが冷厳な事実だから。
学校に関する国の予算が“雲散”してしまったのは、実はこれが初めてではない。前にも確か図書整備費の例はあったし、他にも教材備品費、旅費はいわゆる“ひも付き”から交付税化され、学校事務機器なども予算化されたが、そのほとんどは消えるか、減額された経緯がある。もしも全てが配当されていたら、全ての学校に、拡大機や電子式複写黒板が導入されていたはずなのだが。
この問題はもうひとつ緊急の課題にリンクしている。1984年以降、事務職員と栄養職員を適用除外させるのでは、と18年間攻防が続いてきた義務教育費国庫負担制度と無縁ではないと思われるのだ。今年度は一般の教員も含めた形で除外させようとする動きが出ており、県教組も中央動員等で抵抗しているわけだが、図書費の問題と重ね合わせると、ことの本質が少し見えてくる。
「制度から外したとしても交付税措置はするんだから」財務省の言い草はこれまでどおりだろうが、実際に適用除外になったら私たちは果たしてどうなるだろう。火だるまの財政状態の市町村では“安い”職員しか配置できないなどということにならないか?
何よりも、私たちにとって大事なのは「(これらの動きを)知り」「(常に)働きかけ続ける」ことだ。今回の図書費の問題は、私たちにそのことを教えてくれる。おそらくは、どんな本より。
画像は「HERO(英雄)」(’02 中)
見終わった観客たちが、「ま、予想はついたよなー」とラストについて語り合っていた。しかしこの作品のキモは、その単純なストーリーをどれだけ美しく描いたかにある。少なくとも問題にするに足る映画。人民解放軍を使って秦の大群をCGなしに(?)撮りきった物量作戦をみると、若い頃の黒澤明だったら死ぬほど悔しがったろうと思う。「オレにも馬を撮らせろーっ!」とか。いななき、蹄の音、弓矢の発射音など、効果音をこれでもかと使うパターンまで黒澤。ただ、同じ監督の「初恋の来た道」にも感じたことだけれど、全編がMTVじゃないか、というイチャモンも有効か。それを救っているのがマギー・チャンの演技だ。すごい女優。金を払う価値は絶対にあり。
平日なのになんであんなに混んでいるんだっ!ひとのことは言えないけどっ!☆☆☆☆
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