1991年4月14日、蘇州の刑務所でコレラが発生。外国人を含んだ医師団が送り込まれる。囚人たちの喧噪。注射。しかし医師たちは治療以外に微妙な動きを見せる。金髪の医師は手にジェルを塗り、わざと感電し、刑務所全体を停電させる。彼は心肺停止状態となり……
「スパイ・ゲーム」大好きな映画なんですよ。何度も見ているけれど、このオープニングにはいつも興奮させられる。実は何が行われているかというと、CIAのエージェントであるトム(ブラッド・ピット)が、ほぼ独断でチームを結成し、刑務所からある女性を救出しようとし、そして失敗するのだ。彼が処刑されるまで24時間。そしてその1日は、トムを工作員として育て上げた伝説の男、ネイサン(ロバート・レッドフォード)の退職の日でもあった。
何度も見ているから「そんな偶然あるかよ」と今ならつっこめる。しかしトニー・スコットの演出がシャープなのでそんなことは全然気にならない。しかも、このドラマにとってネイサンの退職は、自らのスパイとしての人生を総括する過程でもあるのだ。
セリフがとにかく素晴らしい。自分のデスクからトムの書類を抜き出すネイサン。
「細心なのね」と秘書。
「ノアはいつ方舟をつくった?雨が降る前だ。」
そして確かに、雨は降る。
CIAはトムを見捨てる決断をするが、ネイサンはあらゆる手段を使ってトムを救おうとする。
この映画は、スパイの冷徹さを描くとタイトルで示しながら、トムへネイサンが授けた有能なスパイとしての教えである……
「南国で引退できる金を用意して、手をつけるな」
「情報提供者のために命をかけるな」
「勝手なまねをして捕まっても、絶対に助けに行かないぞ」
のすべてを破る展開なのだ。実は泣かせる映画だったの。大好き。
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