事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

光る君へ 第43回「輝きのあとに」

2024-11-12 | 大河ドラマ

海岸通

第42回「川辺の誓い」はこちら

内裏で火事が相次ぐ。偶然とはおそろしいもので、総合テレビのオンエアが終わったあたりでわたしの住む酒田市では火事が発生し、ふたりが搬送されている。近所に住んでいる同僚は

「煙の匂いがすごくて」

消防署員の親は

「初めて放水したって言ってた」

4時間後に鎮火。大変な仕事だなあ。

そして国政がらみでは、首班指名の直前に国民民主党の玉木代表の不倫報道。まあこのタイミングは偶然でもないんでしょうが。

藤原道長は、頻出する火事は、帝が天に見放されようとしているのだと強弁し、譲位を迫る。揚げ足をとっているわけだ。このあたり、現代の政局とシンクロしている。

紫式部の娘、賢子は若武者の双樹丸(伊藤健太郎)を憎からず思っているが、彼が放った言葉は痛烈だった。

「ご飯を食べに来ていただけなの」との問いに

「ああ。うまい飯がゆっくりと食えて、妹みたいなお前がいて。楽しかった」

この、妹みたい、というフレーズは、恋愛感情を強制終了させる破壊力がある。はたして双樹丸の本心がどこにあるかは判然としないが、わたしはこれを聞いて

「イルカの『海岸通』かよ」

と思ってしまいました。伊勢正三がつくった名曲ね。あなたが言うとおり、妹のままでいた方がよかったかも、というつぶやきが痛い。

この曲は他にも名フレーズが満載で、著作権のからみもあるからコピペはできませんが、別れのテープは切れるんすよとか、やさしい腕の中で別れを告げられたらしんどいとか、うわーなんかわかるぅ。にしても、先週が関白宣言とめぞん一刻で、今週が海岸通とは。フォーク世代ですね大石静さん。

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「バービー」Barbie(2023 WB)

2024-11-11 | 洋画

日本においてこの作品はとても不幸な公開のされ方だった。

米国では原爆の開発者を描いた「オッペンハイマー」と同日の公開だったのがことの始まり。オッペンハイマーの監督クリストファー・ノーランは、ワーナーが配信に軸足を移したことを批判して、ワーナーからユニバーサルに配給を変更した。その意趣返しとしてワーナーはこのバービーを同日に公開することにした……まあ、真相はよくわかりませんけど。

ということでバービーとオッペンハイマーは組み合わされてバーベンハイマーという造語まででき、結果的に両方とも大ヒットした。特にバービーは女性監督の作品として「ワンダーウーマン」を抜いて首位に立つほどだ。

ところが、そのバーベンハイマーについてのSNSの投稿で、バービーと原爆のキノコ雲が合成された写真が登場するなどしたせいで、被爆国である日本では両方とも批判されることになったのである。

オッペンハイマーは本来であればユニバーサル作品なので、日本では東宝東和が配給するはずなのにビターズ・エンドに変更。しかし作品のチカラで高評価を得る。

さてバービーは?予想よりもはるかに弱い興行になってしまった。日本ではバービーはあまり一般的ではないとか後付けの理屈も散見されたけれど……

さあ見てみました。

とにかく映画として面白いのは確かよね。その意味でとても満足できる。しかし日本で受けなかったのは、現実世界が(バービーの住む世界とは逆に)男尊女卑がはびこっているのを皮肉ったその姿勢にあると思う。作り手も(それは製作者をかねた主演のマーゴット・ロビーを筆頭に)驚くほどむき出しにフェミニズムを前面に押し出している。そんな作品がうけないあたり(なかには公開中止になった国もあるが)日本の後進性を現わしていると考えるのはうがちすぎ?

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「イノセンス 冤罪弁護士」(2019 日本テレビ)

2024-11-07 | テレビ番組

リーガルドラマは好きなのでレンタル。坂口健太郎主演。彼はある理由で冤罪を憎んでいる。最初はどうもぬるいなあと思っていたが、後半になるにつれて面白くなる。

決して「99.9」「ガリレオ」「リーガルハイ」の亜流、というだけのドラマではなかった。シングルマザーのパラリーガルを演じた趣里と、貧乏くじを引いてばかりの検事役、小市慢太郎がいい感じ。

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「シュガー・ラッシュ」「シュガー・ラッシュ:オンライン」(ディズニー)

2024-11-06 | アニメ・コミック・ゲーム

「ゲームの世界をCGアニメで描く、とくれば思い出されるのはスーパーマリオ・ザ・ムービーかの」

「ですね伍長。っていうかディズニーのアニメ系のときは伍長とその部下のシリーズでやるのをおぼえててくれてうれしいです」

「CGだから何でもできるわけだけど、だからこそ作り手の想像力が試されるわけ。その意味ではさすがの出来栄え」

「実際のゲームのキャラもいっぱい出てましたね。マリオのクッパ、パックマン、ストリートファイターのリュウ、ソニック・ザ・ヘッジホッグ……」

「権利料だけでもたいしたもんだったろうな」

「わたしのお気に入りキャラはカルホーン軍曹っす」

「ああいう強い女が好きなのか。あ、伍長より軍曹が位が上だって言いたいのかお前」

「違いますってば」

「それにしてもなあ、主人公が悪役であることに悩み続け、AA(アルコール依存症患者たちのミーティング)みたいのに参加するとか、天才レーサーのヒロインにはバグがあるとか、なんかもう心療内科医が大喜びしそうなネタがたっぷり仕込んであるのはどうしてなんだろう」

「マーベルのキャラが、みんなファーザーコンプレックスを抱えているのといっしょで、アメリカ人はそういうのがひたすら好きなんじゃないですかね」

「ん。言えてる気がする」

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「夜明けまでバス停で」(2022 渋谷プロダクション)

2024-11-06 | 邦画

実際にあったホームレス殺人事件に材をとったお話。コロナ禍で解雇された女性が、いとも簡単にホームレスになってしまう怖さ。しかもそれを板谷由夏のような美女に演じさせるあたりも真実味がある。

高橋伴明監督(高橋惠子の旦那ですよ)作品を観るのはずいぶんと久しぶりだが、あいかわらず画面にチカラがあって頼もしい。途方にくれている板谷由夏は激しく魅力的。

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「ファラオの密室」白川尚史著 宝島社

2024-11-05 | ミステリ

古代エジプト。探偵役は三日間だけ現世に戻れるミイラ……異常設定もここまで来たか。

現役のマネックス証券の取締役が執筆した作品。主人公が二人いる、という構造はなかなか考えてある。ミイラが死の世界を渇望しているあたり、この時代のこの場所でしか成立しないお話でもある。このミス大賞納得。

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光る君へ 第42回「川辺の誓い」

2024-11-04 | 大河ドラマ

第41回「揺らぎ」はこちら

昨日は地元の収穫祭。わたしの役目は何だったかというと、テント建て&撤収、長机とパイプ椅子の移動&後片付け、そしてヨーヨー釣りのお店番。疲れるー。

まあ、収穫祭なだけに名物である女鶴(めづる)という餅米を使ったお赤飯を格安で買えたし(他が高くなりすぎたんですよ、と店主は渋いことを)、仕事のごほうびにうどんを無料で食べさせていただいたのでけっこうでした。

朝8時からはたらいて、終わったのが2時半。あー早く酒が飲みたい。ということで自分のルールである「4時までは飲まない」を破ってしまいました。

そして夜は日本シリーズ。結果的に2024年のNPBの最終戦となった。DeNAの勝利はまことにめでたいが、ソフトバンクの失速こそが不思議。いったいどうしたんだろう。戦力的には段違いだったはずなのに……

ああ大河の話でしたね。酔いと眠たいのと日本シリーズの誘惑をはねのけ、ちゃーんと見ましたよ。残り何回なんだ。

もちろん大石静さんは脱稿しているし、撮影ももう終えているらしい。そう、11月に入って、大河は店じまいの準備。書き残した、描き残したことはないか。というわけで病に倒れた道長とまひろは

「お前との約束を忘れれば、俺の命は終わる」

「お前は俺より先に死んではならぬ。死ぬな」

関白宣言ですか、めぞん一刻ですか。

「道長様が生きておられれば、私も生きられます」

時代劇であることを差し引いても、ベタの極致。大石静さんとしても、これだけは作品のなかに残しておきたかったセリフかと。最終回への、布石でもあるだろう。そして(源氏)物語はつづくことになる。

第43回「輝きのあとに」につづく

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今月の訃報2024年10月PART2 白井佳夫 92歳没

2024-11-03 | ニュース

PART1西田敏行篇はこちら

知らなかった。ショックだ。彼はわたしが愛読する映画雑誌「キネマ旬報」において、1968年から1976年まで編集長をつとめた。いわゆる“伝説の編集者”である。

何度も特集したように、わたしがキネマ旬報を読むようになったのは1975年のことだから、ギリで間に合ったということか。白井以前のキネ旬がどんな存在だったかといえば、“業界の官報”と揶揄されるように、硬直化した誌面だったらしい。

そのため、白井編集長は新しい血を雑誌にどんどん投入した。「読者の映画評」の常連投稿者たちに声をかけ、映画評論家デビューを果たした人も多い。文部官僚だった寺脇研さんもその一人だし、金髪好き(笑)の秋本鉄次や、映画の作り手の方にシフトした内海陽子さんもそうだ。

他に、「話の特集」の編集長だった矢崎泰久とイラストレーターの山藤章二、そして落合恵子のトリオが放談するシネマ・プラクティス、映画の名セリフをイラストとともに紹介した和田誠の「お楽しみはこれからだ」、加えてルポライターの竹中労の日本映画縦断などの連載によって、キネマ旬報は活気ある雑誌となった。面白かったなあ。

しかしそんなキネ旬の活況を、ひとり苦々しく思っていたのが、当のキネマ旬報社の社長なのである。彼は総会屋で、右翼でもあった。アナーキストだった竹中労の連載に難癖をつけ、白井とともにキネ旬から追放した。キネ旬黄金時代の終焉。

しかし以降、白井さんは映画評論家として健筆をふるい、テレビにも進出。大いに名をあげることになった。92歳の大往生。さみしいけれども、うらやましい人生ではないかという気もする。

北上次郎が亡くなったとき、「本の雑誌」は追悼特集を組み、それはまだつづいている。そこまではいかなくても、現在のキネマ旬報が、白井さんの死をどのように扱うのか、発売日が待ち遠しい。

クインシー・ジョーンズ篇につづく

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「ヒマかっ!」日明恩著 双葉社

2024-11-02 | 本と雑誌

幽霊が見えてしまう(そのために不幸な人生だった)少年と、幽霊は見えないけれども物理的にボッコボコにできる先輩……設定がうまいですよね。思いのほか気持ちよく読み終えることができた。

あ、タイトルでわかるとおりこれ、コメディです。スケールを小さくしたゴーストバスターズ調。日明恩(たちもりめぐみ……だから絶対読めない名前)は、しかしけっこう骨太の作風なので読み応えあります。

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