保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

戦いの原点、PRIDEからもらった刺激。

2006-06-09 17:51:58 | 空手・格闘技
PRIDE存続の危機については前回も書いたが、
この総合格闘技ほど、武術者として刺激をうけた競技もない。

自分は16才から当時「地上最強の格闘技」と謳われた
「極真空手」の世界に身を投じ、自らの強さを追求してきた。

痛く苦しい練習に耐え、黒帯を許され大会でも活躍し、
アメリカの巨漢とも拳を交えるなど、その強さも確信した。

その格闘技を知るまでは。

その競技こそ総合格闘技「PRIDE」だった。

極限まで制限をなくしたなんでもありのルールは、一武芸の枠を大きく越え、
戦いの原点を白日のもとに晒していく。

そしてその光景を自分は見てしまった。

極真の重量級チャンプが総合格闘家ヴァンダレイ・シウバに秒殺されたのある。

しかも寝技ではなく、殴り合いで劣勢となり完膚なきまでに倒された。

極真=最強という、信仰が崩れ去った瞬間だった。

また、日本最強のキックボクサーが柔道出身の選手に
成すすべもなく敗れ去った。

空手家は大会を重視しすぎ、そのルール内だけで強さを磨いていただけだったのか?

掴んではダメ、投げてはダメ、絞めてはダメという打撃のみルールが
確立し整備されるほどに、空手は格闘技としての総合力を低下させていき
本来持っていたはずの荒々しさも失われていった。

空手は昔、武器を取り上げられた沖縄の人が
自らの身を守るためにつくり上げられた武術で、
生き残る為の究極の護身術だったはず。

本来持っていた、生への執着、死の恐怖からでてくる
荒々しさを忘れ「武道精神」という耳障りのいい言葉に逃げ、
お行儀のいい武術に成り下がってしまったか?

「PRIDE」は自分の武術者として忘れていた‘原点’を強く刺激した。

「今必要なのは空手に総合力を甦らす事」と考えてた自分は
いろんな格闘技を学ぶ為、東京の各格闘技道場へ出稽古の旅にでた。

一時は週に1日のペースで東京へ出かけた。

帰りの夜行バスの中で「今さら何を拘っているのか」と
ふと考える時もあったが、心の奥底に燻っている武道に賭けた
青春の残り火が、自分を突き動かした。

「PRIDE」は武道家としての自分をもう一度見つめなおす機会を
与えてくれた恩人でもあるのだ。

このまま、消滅してほしくはない。

いつまでも「最強」に拘る男達の受け皿として存在していてほしい。

そして戦いに生きる男達に夢を与えるリングであってほしいと願うのである。



PRIDEがあぶない!

2006-06-09 00:30:57 | 空手・格闘技
今、若者の間で絶大な人気を誇る格闘技イベント「PRIDE」があぶない。

年末の「男祭り」と題したイベントでは国民的番組「紅白歌合戦」
を向こうにまわし20%近い視聴率をたたき出すなど
今や大晦日の恒例番組となった感がある。

そのPRIDEを放映しているフジテレビが番組の打ち切りと
イベントからの完全撤退を発表したからことで、存続の危機に直面して
いるという。

マスコミ報道によると、運営会社である「ドリームステージエンターテインメント(DSE)」による契約違反が判明したことで、同社との契約を解除する」と
フジテレビ側が、DSEに対し契約解除を通告したことを発表したらしい。
フジ側はその理由として「‘不適切な事象’が起き疑惑が強まった」とだけ
説明し具体的な内容には明らかにしていない。

いずれにしてもフジテレビの放映権料という大きなスポンサーを
なくしたことで、PRIDEはミルコや吉田秀彦ら大物選手の
高額なギャラやイベント開催の費用に窮することが予想され、
事実上、存続が厳しい状況となるとの見方が支配的で
一ファンとして本当に残念な思いだ。

不適切な事象とは恐らく一部週刊誌でキャンペーンを張っていた
「DSEと暴力団との関係」のことだと容易に想像できるが
今度の株主総会での混乱を恐れたフジ側が事前に対応したと
いうのが本当の所だとは思う。

確かにPRIDEに限らず格闘技界と闇社会の関係は
昔から切っても切れない間柄だ。

戦後、プロレスやボクシングなどプロスポーツや芸能界の興行は
闇社会の大きな実業となって成長し、彼らの力で今日の隆盛を
作り上げたという歴史がある。

事実今でもこのような勢力とは手が切れず、彼らに頼らないと、
イベントというものは成り立たたない。
素人が簡単に手を出せる業界でないことは、関係者なら誰でも周知のこと。

莫大な放映権料を支払うテレビ局が事前に調べてないはずはない。
たぶんそれは、触れてはならない業界の‘タブー’だったのであろう。

今までプロスポーツ界で日陰の身であった格闘技界に
華やかなスポットを当ててくれたPRIDE。

格闘技に青春を賭ける若者に夢と希望を与えてくれたし、
今の最強というロマンを求めて、多くの純粋な若者たちが
血と汗と涙を流しながら練習に励んでいる。

彼らには罪はない。

いつの日か格闘技界が健全に発展し、その様な若者達に
明るい未来を与えることができるのだろうか?

またしても、格闘技界の負の部分が露呈された今回のPRIDE事件。
格闘技をこよなく愛し、自らも愛好する者としてこんなに
残念で悲しい結末はない。