保津川下りの船頭さん

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映画 ダ・ヴィンチ・コードを観て。

2006-06-19 11:36:47 | 映画・芸能界
6000万部を売上げ世界的ベストセラーとなった原作本の
映画化「ダ・ヴィンチ・コード」を観にいった。

カンヌ映画祭で失笑を買い、世界中のカソリック教徒を
敵にまわしたと話題の本作だ。

しかし、カソリック教徒ではない者にとっては、陰謀と暗号、
殺人と逃亡劇が絡み合うスリリングなサスペンス映画と感じられ
あれだけの批判にあう映画とは到底思えなかった。

まあ、カソリック教徒の多いヨーロッパでは今でも
「イエスは人か?神か?」という論争は続いているので
このデリケートな問題を映像として世界配信した勇気は大したものだが・・・

原作を読んでないと、登場人物、話している内容や出てくる名詞が
やたらに多く戸惑う人もいるとは思うが、
二転三転するスピード感あるストーリー展開は
娯楽映画としては十分に楽しめる。

ただ、謎解きの核となるダビンチの絵画「最後の晩餐」や
「聖杯伝説」などに詳しい説明がないまま、さらっと
流していて、暗号の謎解きもあまりにも簡単すぎ、
作品本来の知的な奥行きが描ききれてなかったことは残念だ。

キリスト教の教義や歴史的解説、登場する組織との関係などを
詳しく説ききれていないことで、ただのサスペンスアクション映画に
なってしまったことは、原作を読んだ者にとっては物足らないと思うのだ。

クリスチャンでない自分にはこの作品の宗教的是非を語る資格は
無いのかもしれないが「イエス様が人として、普通の人と同じ
営みの中で、同じように悩み、同じように考えた」という
考え方があったとしても「イエスの神性」は少しも揺るぐものでは
なく、いわれるほど邪悪な思想とは思えない。

あえて宗教論はここでするつもりはないので、これ以上語ることは控えるが、
およそ宗教には
「本質的な教訓と真理(純粋信仰)と本質ならざる行事と提案(教団組織制度)」
という二つの部分がみられる。この二つを混同してしまうと本質のところの
純粋信仰そのものが深い霧の中にかすんでしまうものだ。

最後に主人公が「大事なのは何を信じるかだ」と語る言葉に
作者の言いたかったこと全てが凝縮されていると感じた。

映像という世界でその精神世界を描く事の難しさを感じた映画でもあったのだ。