保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川下りの「船を守る」という仕事。

2006-06-23 11:51:15 | 船頭
いよいよ本格的な梅雨の季節入り、昨日も終日激しい雨が
降った京都亀岡の保津川。

激しい雨が降り河川が増水するこの季節、最も気になるのが
川に係留してある船の管理状態だ。

我々遊船組合では所属する4の支部が持ち回りで船を管理する
体制「船守り(ふなもり)」という制度を執っている。

船守りとは読んで字の如く、川下りの船を守るという意味なのであるが、
河川増水などの事態から、乗船場の向こう岸の湾に係留されている船を
維持管理するシステムで、組合4つの支部が10日づつ交代で担当、
管理責任を負うという船頭の重要な仕事の一つなのだ。

主な仕事は、
1、着船場から回送された船を元の係留地に整理する作業の「船越やし(船並べ)」
2、前日前夜の雨で船内部に溜まった雨水を掻い出す作業の「水垢(あか)がい」
3、大雨・台風など緊急時の河川増水に船を係留地から回避させる作業「船上げ」
の3つだ。

どの作業も気を抜けない作業だ。

自分の所属する第3支部は今月の20日からこの船守りに当っている。

今朝、早速船内部に溜まった雨水を描き出す作業「水垢がい」に出動。

昨日終日、相当の雨が降ったのであろう、船の中には
底板まで浮ぶほど、雨水が溜まっていた。

この雨水を外へ掻い出す為の方法は極めて単純。
原始的にバケツで掬う手作業が主だ。


最近は数台電器ポンプ器を使用はしているが、水の上に浮ぶ
50以上の船に一々セットしていくには電気の配線等で
あまりにも時間が掛かり過ぎ、かえって手間が掛かる。

はやり、400年の歴史のある我々保津川下りには、
原始的な手作業、人力が良く似合うと感じさせられる。

約30名の支部員で、50艘近くの船に溜まった雨水を掻い出すのに30分ほどだ。
このくらいの時間で処理してしまわないと、朝一番の船の準備に間に合わない。

今日はまだ「水垢がい」だけで済んだが、今週末から来週にかけて
天気予報は殆どが雨マーク。

100mm~200mmくらいの雨が降れば、今度は最悪の事態「船上げ」
があるかもしれない。

この「船守り」に当っている期間は、夜中眠れない日々が続くのである。


*「船守り」についての詳しい記事は下記をご覧下さい。
2004年8月31日付「船上げに出動
2004年10月20日付「保津川大氾濫!決死の舟上げ!