創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

いない(3) 公募

2006-06-03 18:58:20 | 創作日記
必死に探していますがまだいない。いない(3)になりました。
「Lost 失われた時間」(二人芝居)の男性キャストを公募します。戯曲は作品をクリックして下さい。左クリックで作品を直接見ることができます。右クリック、ファイルに保存で、ダウンロードができます。応募はikekubo1946@mail.goo.ne.jp で受け付けます。

「真鶴」最終回 川上弘美 文學界五月号(2006年)

2006-06-03 18:51:38 | 読書
楽しみが一つ終わった。本になったらもう一度読もうと思う。三人家族。母と娘と「わたし」。突然疾走した夫。情人(古めかしいかそれが一番ぴったりとする)。ある日突然、「わたし」は真鶴に出かける。真鶴に何があるのか?海と幻想。現実が幻想となり、幻想が現実となる。最終回は光の中にある。空っぽの箱の中に光が流れ込む。最終章だけが異様に明るい。「わたし」という主語が極端に少ない小説でもある。

世界一周恐怖航海記 車谷長吉 文學界

2006-06-03 11:26:31 | 読書
文學界5月号(2006年)連載中。
私は車谷長吉の熱心な読者ではない。読んだのは「鹽壺の匙」のみ。途中で止めたのは沢山ある。だが、「世界一周恐怖航海記」は面白い。ドキュメンタリーの面白さだと思う。夫人の高橋順子(詩人)も同行している。このあたりの家庭の事情はよく知らないが、「高橋順子がファンタジー小説「片目の黒猫・マへ」(五十四枚)を書き上げた。との記載がある。題名だけで読んでみたくなる。同じく「世界の果て博物館」という詩もいい。最後の部分を引用しよう。

 この博物館でいちばん値打ちがあるのは「世界の果て」という文字である
 フィン・デル・ムンド
 そこから旅人はふたたび出発することができる
 それぞれの世界の果てへと

「応為坦坦録」 山本昌代

2006-06-03 10:53:52 | 読書
「江戸の誘惑」肉筆浮世絵展で葛飾応為の「三曲合奏図」を観た。北斎の娘。北斎に「オーイ」と呼ばれるので画号にしたと言われる。三人の女が合奏している。琴を弾く女は後ろ姿である。三人三様の楽器を奏で服装も身分を表して三人とも異なる。楽曲や女たちの歌う声が聞こえてきそうな見事な構図である。「応為坦坦録」はお栄(葛飾応為)を描いた作品である。「三曲合奏図」に触発されて20年ぶりに読み返した。面白い。面白いというのにぴったりの作品である。作者は江戸ものといわれる作品を次々書いた。中でも「江戸役者異聞」には感服した。その他「映画化された「居酒屋ゆうれい」。三島由紀夫賞受賞「緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道」と続く。この作者について思い出すことが二つある。一つは多分二十歳そこそこだったろう。なぜか頭を丸刈りにしていた。雑誌のインタビュー記事だったと思う。「小説なんてもう書きませんよ。世の中には小説以外にも楽しいことがあるんですから」うろ覚えだがそんな意味のことを言っていた。だが、彼女は書き続ける。
もう一つは編集者に「こんなのを書いて下さい」と言われて、宿題を出され生徒のように書く。

とにかく書くものは向こうからやって来る。それを具体化するのは作家の本能のようなものだと思う。無名で40年近く書いてきても同じ。それを置き去りにして、楽しい事へと走れない。そのさがが無性に悲しい時もある。

火の旅 日和聡子 新潮5月号(2006年)

2006-06-03 09:48:16 | 読書
何気なく読み始めたが、文体に惹かれた。しっとりと露の浮くような文章である。一つ一つの言葉とその余韻を大切にしている。だが、文章とは裏腹に心の中には激しい風が吹いている。梅崎春生の小説「幻化」を辿る旅。それは絶えず情人の影を伴う旅でもあった。作者も梅崎春生も知らなかった。今、「幻化」を読み始めた。虚実の縁を二人の作家が時を超え彷徨っている。