創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

北村 想氏を囲んで「劇作と演出を聞く!」

2006-07-02 17:47:48 | 創作日記
先週の日曜日(2006/5/28)、滋賀県南草津へ行ってきました。滋賀演劇友の会主催の北村 想氏を囲んで「劇作と演出を聞く!」に参加してきました。場所は「しが県民芸術創造館」。「椅子は?」とか言って、直ぐに何処かへ行ってしまった人が北村想さんだった。突然主役が現れたのでびっくり。後で知ったのですが、2006年4月から、滋賀県草津市の「しが県民芸術創造館」の館長に就任。仕事場での講演だったのですね。午後7時、12,3人(後から沢山来られて20~30人)の聴講生を前に講演が始まりました。
「50人いうてたやん」司会者をじろり。多分、不機嫌。マイクを使わないので声が聞き取りにくい。絶対、不機嫌。それを悪びれずに、軽く受け流す司会者もすごい。だが、直ぐに調子が出てきた。話は面白い。感銘を受けました。
○劇場はあるのではなくてなるものだ。
○タイトルを考える。
○テーマ、ストリーは最初に考えてはいけない。
○才能、努力は当てにしてはいけない。
○戯曲とは何かを考えながら書く。
○登場人物のキャラクターが出来たら、放っておいても物語は走り出す。
特に印象的な話を一つ。
自分は渡世人。一時期(2週間か2ヶ月?)サラリーマンをしたことがあるそうです。会社員はいつも社長の悪口ばかりを言っている。「タートルネックにネクタイをしてきた。云々」。渡世人になることを決めた想さんは、社長に辞職を申し出る。
「社長はすごく怒っていたんだと思います。顔を何回も洗っていた」
これは凄いと思った。こういう人間観察の深さが作品に投影されて行くのだと思います。
今、机の上に「想稿・銀河鉄道の夜」があります。初めて北村想さんの作品を読む。わくわくします。

突然、小説の連載を始めました

2006-07-02 17:40:12 | 創作日記
ドキュメンタリーと演劇で、こんな事をしている暇はない筈なんですが、やって来るものは書こうと思います。私にとって創作はやって来るものという感覚にとても近いのです。正確には自分の内部にあるものなのですが、外からやって来るような感じなのです。物語は書かれたがっている。だから、自動書記のように書く。現代と過去(1611年)が交錯しながら物語は進んでいきます。どこへ行くのか。作者も知らない。

物語のかけら⑨

2006-07-02 11:05:55 | 創作日記
国王は重い扉を開けて大広間に入った。誰もいない。誰も迎えに出てこない。物音一つない。敵の血をあびた疲れた身体を引きずり、王は甲冑を解いた。ドサッと足下に落とした。血が染みついた土足のまま、絨毯を敷き詰めた螺旋階段を上がった。寝室にたどり着くと、ベットに身体を投げ出した。すぐに眠りに落ちた。深い夢の底で見たのは戦いの続きだった。殺した敵の顔が次々浮かび、なぜかみんな哄笑していた。王は夢の中で子供のように泣いていた。
「もう、いやだよ。もう、いやだよ」
女の声がした。
「よく眠っているわ」
「戦うしか能のない男」
「何人殺したの?お馬鹿さん」
「シー、起きているかも」
「大丈夫、よだれを垂らしているわ」
王は夢の続きか現実か分からなかった。
「汚いね」
「汚い」
「地下のお風呂場で洗ってあげましょ」
「誰が」
「あなたが」
「いやよ」
「それじゃ」
「ほっときましょ。でも、私のお風呂はいやよ」
「面白いことがないかなあ。退屈」
「村へ行こうか」
「村ね」
「狩りか…」
「退屈より退屈でない」

王が目覚めると、化粧の香りがかすかに残っていた。そして、かすかな血の匂いが混じっていた。