創作日記&作品集

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人間の建設 3

2010-04-22 14:01:20 | 読書
人間と人生への無知
岡 今の人類文化というものは、一口に言えば内容は生存競争だと思います。
○45年経っても全く変わっていないと思います。いや、もっとひどくなった。
岡 時には未来というものがある。その未来には、希望をもつこともできる。しかし不安も感じざるをえない。まことに不思議なものである。そういう未来が、これも不思議ですが、突如として現在に変わる。現在に変わり、さらに記憶に変わって過去になる。これが時ですね。時あるがゆえに生きているというだけでなく、時というものがあるから、生きるという言葉の内容を説明することができるのですが、時というものがなかったら、生きているとはどういうことか、説明できません。時というものがなぜあるのか、どこから来るのか、ということは、まことに不思議で強いて分類すれば、時間は情緒に近いのです。
読み落としがなければ、はじめて情緒という言葉が現れます。
岡 デカルトの「考えるゆえにわれあり」というのも、本当に自分が不思議な存在だと感じたのだろうと思います。
小林 私の読んだ限り、それはそう思われます。
岡 その実感を忘れて、現在ではその言葉だけをいっている。
私も自分の存在がとても不思議だと思います。なにゆえ自分なのか? どれが自分なのか? 確かに小林先生のいっておられるようにアウグスチヌスの引用のように、「時というものを説明しろといったら俺は知らないという、説明しなくてもいいというなら、俺は知っている」岡先生はそれを受けて「そうですか、かなり深く自分というものを掘り下げておりますね。時というものは、生きるという言葉の内容のほとんどを説明しているのですね」と返しています。