つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

鏑木清方の世界

2010年01月02日 | 文化
                      鏑木清方の美人画

六本木のミッドタウン内にあるサントリー美術館へ行った。
近代日本画の巨匠、美人画挿絵として名声のある鏑木清方の美の世界展。

サントリー美術館は、建設に創意工夫が凝らされている。
床材は、サントリーウイスキーの樽酒に使用する百年物のホワイトボードを使用している。展示会場の照明も落ち着いた光でゆっくりと鑑賞できるようになっている。障子利用の壁も落ち着かせてくれる。
展示場には、音声ガイドを借り4階から入り、3階へと繋がっている。音声ガイドにより作品の様子が詳しく解説されるのでよく理解できる。

鏑木清方は、明治から昭和という時代にあって、人々の暮らしに残る江戸情緒に美を見出し、風俗画に独自の画境を開く。
清方にとってのノスタルジアに焦点をあて、名品の数々とともに清方芸術の魅力を堪能した。

清方画伯の終焉の地となった鎌倉市雪ノ下に鏑木清方記念美術館が常設されているが、そこに展示してある多くの作品をサントリー美術館で展示した。
鏑木清方は、明治11年東京神田に生まれ、その画業のはじまりは挿絵画家からでした。のちに肉筆画に向い、清らかで優美な女性の姿や、いきいきとした庶民生活、肖像、愛読した樋口一葉や泉鏡花などの文学を主な題材として描かれた作品は、市井の人々への共感や慈愛のまなざしが感じられる。
昭和29年文化勲章を受け、鎌倉の雪ノ下に画室をもうけ、昭和47年に93歳で亡くなるまで過ごした。

鏑木清方は晩年、自らの境地を「市民の風懐にあそぶ」と称して、庶民生活を題材にした作品を多く手がけた。
情緒あふれる日本画作品、また典雅な文体による随筆を多く残している。
サントリー美術館での展示は、1月11日までです。

(1月2日記)
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