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ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.6.23 ハーセプチン98回目

2010-06-23 19:31:31 | 治療日記
 今日も朝から土砂降りの雨。案の定最寄り駅では電車が遅れており、乗換駅でも1台遅れの電車になった。内科受付後、「中待合へどうぞ」の受付番号ランプが付くまでに1時間。さらに診察室に入るまで30分ほど待った。

 先生とは先週お目にかかっていなかったので、先週来ひいている風邪についてもざっとご報告。相変わらずしつこい咳と鼻水が残っている。
 先週金曜日に撮影したCTの結果は、前回までのレントゲンで見つかっていた左右1箇所ずつの影が各々大きく濃くなっている以外、新しい病変は見つからなかった。前回の画像と比べると、両肺の影は確かにもやもやとしていたものがよりはっきり写っているし、薄かったものも濃く写っていた。
 先生がおっしゃるには、こちらに転院してきたときのように両肺の複数の病変を心配していたが、問題なしとのこと。また、胸部の痛み等があるため皮下組織の病変も心配していたが、それも問題なし。骨も肝臓等の内臓にも新しい変化は何も出ていないということで、「このまま予定通りヒスロンで継続治療していくことに問題なしと考える。」ということだった。今のところ、ヒスロンの副作用である食欲増進、ムーンフェイスは出ていない。「まあこれからでしょう。」とのこと。ちょっとがっかり。

 処置室に移動すると、「少なくともあと1時間半は点滴椅子が空かない」ということで、院内レストランで早めの昼食をとった。隣に座っていた赤ちゃんをあやしてしまった。恥ずかしがりつつ、こちらを意識してちらちらと見る男の赤ちゃんが可愛い。

 12時半前に戻り、1時前から予定通りハーセプチンスタート。点滴薬の指示表の年齢がしっかり49歳0ヶ月になっていたので、看護師さんに「しっかり加算されたんですよ。」と言うと、「あら、実は私、今日誕生日なんです。」とのこと。「先生も6月生まれでしたよね。」と6月生まれ談義をしてしまった。

 今日は待ち時間がたっぷりあったので4冊読めた。
 1冊目は高橋克徳+河合太介+永田稔+渡部幹さんの『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(講談社現代新書)。本当にいずこも同じなのだ、と思う。誰しもが“ギスギスした職場”が増えていると感じているのは事実なのだろう。もちろん、今更成果主義を否定するつもりはないし、年功序列を礼賛するわけではないし、派遣等さまざまな働き方がなくなるとも思えないが、やはり組織力とは『個人の力』と『個人間のつながり』の掛け算なのだろう、と実感する。隣は何をする人ぞでは、あれだけの長い時間を過ごす職場があまりに哀しい。評価軸が「業績」という一軸だけになっていることもそうだ。会社には多様な能力が集まり、多様な協力があるからこそ全体としてうまく回っていく。自分を認知しない個人、組織、社会に対して人は愛情を弱める。・・・など本当に頷きつつ一揆加勢に読んだ。
 2冊目は姜尚中さんの『悩む力』(集英社新書)。「私たちは100年前の漱石やウエーバーと同じ壁にぶつかっている!」と帯にあったが、漱石の小説をふんだんに例に取りながら論を進めてあった。久しぶりに若い頃に読んだ漱石の三部作等を読み直してみようか、と思った。それにしても漱石は50歳で亡くなっているのだった。またまた我が身を振り返り、下を向いてしまう。「何が生きる力になるのか」の項では「たぶん、お金や学歴、地位や仕事上の成功といったものは、最終的には人が生きる力にはなりきれない。力になるものとは何かと問うていくと、それは究極的には個人の内面の充足、すわなち自我、心の問題に帰結すると思う。」にはとても同感する。
 3冊目は三浦展さんの『下流大学が日本を滅ぼす!-ひよわな“お客様”世代の増殖(ベスト新書)』。ここまで本音で喋っていいのでしょうか、というくらい一刀両断な語りおろしだった。確かに大学の非常勤講師の扱いは酷いよな、と思う。そしてやはり大学は決して義務教育機関ではないし、万人が行く必要のある所ではないと思う。「可能性のある沢山の子どもを学校も親もつぶしている。大人たちは子どもを座敷犬のように育て、社会や自然から隔離している。それよりなにより、自分の足で地面を歩き、生きていく力を育てないといけないのではないか、」と実にもっともなあとがきであった。
 4冊目は手持ちがなくなったので、病院の本棚から桐野夏生さんの『柔らかな頬(上)』(文春文庫)。平成11年の直木賞受賞作。この頃は本当に子育てだけで読書をしていなかった、と実感。それにしても通院疲れも気にせず帰りの電車内まで一気に読んでしまい、下巻がないのがとてもストレス。やはり買ってくれば良かった、と後悔先に立たず。

 病院を出るときには雨は小降りになっていた。それにしても蒸し暑く体力を消耗する気候だ。最寄り駅にたどり着いたのはいつもの終業時間になった。1日がかりの通院日であった。

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