昨年の抗がん剤治療の副作用で浮腫みが酷かったとき以来、夫の好意(?)で夜な夜なマッサージをしてもらっている。その時間だけはリビングに夫の好きなジャズが大きな音で流れる。(それ以外は本も読めなくなってしまうので音量を下げてもらったり、ヘッドフォンで聴くことをお願いしている。)
夫と結婚するまでは、中学・高校とブラスバンドでクラリネットを吹いていたこともあり、ビックバンドの曲を耳にしたことはあったけれど、ジャズらしいジャズなど殆ど聴いたことがなかった。
しかし、さすがに20年以上一緒にいると、耳だけは随分いろいろな曲を覚えている。夫が好きなトランペットやサックスのギンギンバリバリのジャズではなくて、私としてはどちらかと言えばクラシックを崩したようなものとか、ピアノトリオが聴きやすくて好き。私はクラシックピアノの経験しかないので、どうしてあんな運指で(まるで鍵盤に恨みでもあるかのようにぶっ叩いているようで)あんなメロディーが弾けるんだろうなどと思ったりもしたけれど。
結婚前、それまで彼が高校生の頃から収集していたLPのレコード3,000枚を全て売り払って、それが私の婚約指輪に化けた、という笑えない話がある。「あれだけ売ってこれだけか・・・」と、がらんとしてしまった部屋で夫がつぶやいたのをまだ覚えている。この指輪は息子のお嫁さん(来るかどうか知らないけれど・・・)に譲らなければ、と思っている数少ない宝石の1つでもある。
しかし、指輪をするまで気づかなかったのだが、なんと私はプラチナアレルギーだったのだ。ずっとはめていると赤くかぶれて水疱になってしまう。今では指が浮腫んでいて結婚指輪も何もしていないけれど、結婚以来、外出するときにはめても帰宅すると必ず外していた。それを夫に言うと「レコードの祟りだ。」と言われるオチまでついた。
その後、夫は順調にCDを買い集めている。
昔と違って、今では実際にあちこちの店を探し回らずともネットで簡単に買うことができるし、突然、宅急便が届いたりすると、嬉しそうにいそいそと包みを開けている。
今ではCDラックに納められているCDは当時のLPレコードを上回るほど(あまりの数で数えたことはないけれど)の枚数となっているのはまず間違いない。私の本棚と夫のCDラックを見ると、(絶対もう引越しはしない・・・)との思いを新たにする。
そういえば、何年か前に転移性乳がんで亡くなった絵門ゆう子さんも、ご主人にマッサージをしてもらっていて、急に息苦しくなってそのまま救急車に運ばれて・・・、という最期だったなあ、と仕方のないことばかりよく覚えている。
そのことを知ったとき、がんになってご主人あるいはパートナーとの関係が悪化してしまう人とそうでない人の2つに分かれることを実感した。もちろんがんという病がある意味端緒にはなったかもしれないが、別にがんになろうがなるまいが、それまでの2人の関係が背景にあってのことだろうけれど。
さて、夜のマッサージのときに、うつらうつらとしながら流れてくるBGMについて「あれ、これ聴いたことない(けどまた買ったの?)」と問うと、「前から持ってる。」と言うのである。必ず。
「前から」というのが「今日新しく買ってきたものではない」という意味なのか「本当にずっと前から持っていたのだけれど、これまであまり聴いてこなかったコレクションだ」という意味なのかは本当のところ不明だ。
が、私が内緒で買った洋服を着た時に、夫から「あれ、その洋服初めて見るね。」と言われれば「あらそう?前から持ってたけど、あまり着なかったのよ。」と答えることにしているので(こんな手の内を晒すことを書いていてはいけないのだが)、"おあいこ”ということでそれ以上聞かないことにしている。
夫と結婚するまでは、中学・高校とブラスバンドでクラリネットを吹いていたこともあり、ビックバンドの曲を耳にしたことはあったけれど、ジャズらしいジャズなど殆ど聴いたことがなかった。
しかし、さすがに20年以上一緒にいると、耳だけは随分いろいろな曲を覚えている。夫が好きなトランペットやサックスのギンギンバリバリのジャズではなくて、私としてはどちらかと言えばクラシックを崩したようなものとか、ピアノトリオが聴きやすくて好き。私はクラシックピアノの経験しかないので、どうしてあんな運指で(まるで鍵盤に恨みでもあるかのようにぶっ叩いているようで)あんなメロディーが弾けるんだろうなどと思ったりもしたけれど。
結婚前、それまで彼が高校生の頃から収集していたLPのレコード3,000枚を全て売り払って、それが私の婚約指輪に化けた、という笑えない話がある。「あれだけ売ってこれだけか・・・」と、がらんとしてしまった部屋で夫がつぶやいたのをまだ覚えている。この指輪は息子のお嫁さん(来るかどうか知らないけれど・・・)に譲らなければ、と思っている数少ない宝石の1つでもある。
しかし、指輪をするまで気づかなかったのだが、なんと私はプラチナアレルギーだったのだ。ずっとはめていると赤くかぶれて水疱になってしまう。今では指が浮腫んでいて結婚指輪も何もしていないけれど、結婚以来、外出するときにはめても帰宅すると必ず外していた。それを夫に言うと「レコードの祟りだ。」と言われるオチまでついた。
その後、夫は順調にCDを買い集めている。
昔と違って、今では実際にあちこちの店を探し回らずともネットで簡単に買うことができるし、突然、宅急便が届いたりすると、嬉しそうにいそいそと包みを開けている。
今ではCDラックに納められているCDは当時のLPレコードを上回るほど(あまりの数で数えたことはないけれど)の枚数となっているのはまず間違いない。私の本棚と夫のCDラックを見ると、(絶対もう引越しはしない・・・)との思いを新たにする。
そういえば、何年か前に転移性乳がんで亡くなった絵門ゆう子さんも、ご主人にマッサージをしてもらっていて、急に息苦しくなってそのまま救急車に運ばれて・・・、という最期だったなあ、と仕方のないことばかりよく覚えている。
そのことを知ったとき、がんになってご主人あるいはパートナーとの関係が悪化してしまう人とそうでない人の2つに分かれることを実感した。もちろんがんという病がある意味端緒にはなったかもしれないが、別にがんになろうがなるまいが、それまでの2人の関係が背景にあってのことだろうけれど。
さて、夜のマッサージのときに、うつらうつらとしながら流れてくるBGMについて「あれ、これ聴いたことない(けどまた買ったの?)」と問うと、「前から持ってる。」と言うのである。必ず。
「前から」というのが「今日新しく買ってきたものではない」という意味なのか「本当にずっと前から持っていたのだけれど、これまであまり聴いてこなかったコレクションだ」という意味なのかは本当のところ不明だ。
が、私が内緒で買った洋服を着た時に、夫から「あれ、その洋服初めて見るね。」と言われれば「あらそう?前から持ってたけど、あまり着なかったのよ。」と答えることにしているので(こんな手の内を晒すことを書いていてはいけないのだが)、"おあいこ”ということでそれ以上聞かないことにしている。