ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.6.1 ハーセプチン138回目(3週に1回の3倍量初回スタート)、ナベルビン14クール1回目

2011-06-01 21:22:40 | 治療日記
 今日から6月。電車は順調だったが、ずっと座ることが出来ずちょっと疲れ気味。さらに行きの車内で読み始めた文庫本で早くも朝から涙腺が故障した。

 病院到着後、月初めのため採血受付が混んでいたので、長丁場を覚悟したが、受付を済ませて採血室に行くと珍しく「廊下に出ないでそのまま室内でお待ちください。」と言われた。
 5分ほどですぐに採血してもらえた。今日は白血球の確認だけなので1本採取。それから内科受付へ移動し、結果が出るまで小一時間と思ったが、30分ほどで中待合に入れ、さらに10分ほどで診察室へ呼ばれた。

 前回投与から2週間、今回は白血球が2500と低いが、回復することを見込んで予定通りの治療のゴーサインが出た。前回も翌日、翌々日までの火照りと生唾、夜中に足の攣り、胃の痛みがあったこと、頭痛のため一度ロキソニンを飲んだことなどをご報告した。先生から「痛みはどうですか。」と問われ、「圧痛はありますが、酷くなっているとかずっと気になるというほどではありません。」とお答えする。

 今回からハーセプチンは3倍量で3週に1度のサイクルになった。3倍量は今回が初めてなので、今回に限ってゆっくり点滴を落として様子を見、次回からはまた1時間に戻すとのこと。最短30分で落としても良いと言われているが、この病院では1時間としているという説明があった。いずれにせよ、3回分が1回で出来て、これまでの時間より短縮されるのだから、有難いことだ。先生も「次週はナベルビンとゾメタだけですね。なんだか“ハーセプチンなし”は変な感じですね。」とおっしゃる。確かにこれまでほぼ3年間、ハーセプチン投与のない治療日はなかったのだから、本当にそうだ。

 化学療法室に移動し、10分ほど待って点滴椅子に案内される。針刺は相変わらずちょっと顔をしかめる感じだった。血圧測定も普段は点滴開始前後の2回なのだが、今日はハーセプチン開始前、開始15分後、ハーセプチン終了時、全点滴終了時と4回あった。3回とも上が90に行くか行かないかという程度、下は50台。最後だけ100-60に到達した。指先の酸素量は98%で異常なし。
 これまでハーセプチンは60㎎を1.5本で0.5本廃棄していたのだが、今回から60㎎2本と150㎎1本で270㎎。廃棄ゼロということで実にエコである。高価な薬だから、廃棄は本当に申し訳ない。だが、体表面積で計算しているので、もったいないので全部使ってくださいとも、次の方に譲ってくださいとも言えないのが辛いところだ。

 11時前から点滴開始。ハーセプチン、デキサート、ナベルビン、生理食塩水の4本が無事終了するまで3時間弱。針を抜く時にはやはり衝撃が大きかった。
 会計を済ませると、前回プチ虹のサロンのSさんがおっしゃっていたとおり、3倍量でも2回分ほどの支払いだった、という通り4万円強だった。今日の病院滞在時間は5時間ほど。とても順調だった。
 帰り道、少し雨が降り出していたが、傘をさすほどでもなく、駅ビルでゆっくりランチをすることが出来た。

 今日は3冊読んだ。
 1冊目は寮美千子さん編の「空が青いから白をえらんだのです-奈良少年刑務所詩集-」(新潮文庫)。
 単行本が出たのが去年の今頃だったと思う。その時も気になっていたのだが、1年もせずして文庫化され、手に取った。裏表紙に「童話作家に導かれ、彼らの閉ざされた思いが「言葉」となって溢れ出た時、奇跡のような詩が生まれた。美しい煉瓦建築の奈良少年刑務所の中で、受刑者が魔法にかかったように変わっていく。彼らは一度も耕されたことのない荒地だった。」とある。刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」から生まれた作品を中心に57編が掲載されている。お母さんにあてた数多くの詩に目の前が曇って仕方なかった。表題は「くも」という1行詩。お母さんの七回忌に読んだ詩である。お母さんの最期の言葉「つらいことがあったら、空を見て。そこにわたしがいるから」から思いの深さを込めた詩だ。

 2冊目・3冊目は天童荒太さんの「悼む人」(上下)(文春文庫)。
 第140回直木賞受賞作で、単行本で出たときから読んでみたいと思っていたが、文庫化を待って手に取った。天童さんの作品を読むのはこれが初めて。ずしりと重く、何度も何度も打ちのめされて、疲労困憊してしまった。
 裏表紙には「不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野、末期がんに侵された静人の母・巡子、そして自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織り成す生と死、愛と憎しみ、罪と許しを巡る壮大なドラマ」とある。主人公と彼を巡る3人の視点から「悼む人」が描かれていく構成をとる。そして、私たち読者はその旅に同行する形になる。

 さて、気持ち悪さ対策で夕飯は少な目に、ロキソニンを飲んで発熱に備えるパターンもいつもと同じだ。足が攣らないようにお風呂で暖まり、今日は早く休みたいと思う。
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