ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.6.22 ハーセプチン139回目(3倍量2回目)、ナベルビン15クール1回目

2011-06-22 19:52:59 | 治療日記
 今日は夏至。暦の通り、真夏日になるとの予報だった。朝から強い日差しの中、電車は乗り継ぎも順調で時間通りに病院に入った。今日は診察前採血とレントゲン撮影なので、長丁場を覚悟する。
 幸いにも採血は受付後、待ち人数は5人ほどで、すぐに呼ばれた。今日は腫瘍マーカーも含めフルの検査なので3本採取。それから2階に上がって胸部レントゲン検査。こちらも10分ほどの待ち時間で終了し、再び1階に降りて内科受付へ。
 結果が出るまで一時間ちょっとかかり、「中待合へどうぞ」のランプがついてから、実際に診察室に呼ばれたのはそれから30分ほど経ってから。

 まずは検温をしながら2週間の様子の報告。やはり投与後2,3日は気持ち悪さがあり、1度ナウゼリンを飲んだこと、今回はずっと便秘気味だったことと、腰痛が気になったことをお話しする。「痛みはどうですか。」と聞かれ「悪化はしていないですが、圧痛や鈍痛、重い感じはあります。」とお答えした。
 今日も白血球は2400と低め。「好中球も低いでしょうが、上がってくるタイミングであるだろうということで予定通りハーセプチンとナベルビン実施しましょう。」となる。マーカーCA15-3は若干上昇。まだなんとか正常範囲内ではあるのだが、先生曰く「気になると言えば気になる。」とのこと。レントゲンは「前回の2月と比べて左肺の腫瘍茎はあまり変わらず、右肺の影はあまり目立たない。よって症状と画像の結果から変化なし、ということで必要以上心配することはないでしょう。」と診察が終了した。今日は3倍量のハーセプチンも1時間で点滴することになっている。

 化学療法室へ移動。名前を呼ばれるまで30分近く待った。血圧は91-56と相変わらず低め。すでにベッドが一杯で針刺も点滴椅子をリクライニングして行う。痛みは相変わらず。職場では全く空調が効いていないので、病院内がやけに寒く感じた。今日は外が暑いので特に効かせているのかどうかわからないけれど、羽織物も持っていなかったので、タオルケットを1枚追加で貸して頂き、くるまって本を読みつつ薬が届くのを待った。薬が届き点滴が開始したのはお昼を回ってから。ハーセプチン、デキサート、ナベルビン、生理食塩水の4本で2時間20分ほどかかった。
 針を抜いてもらい、再度血圧を測ってから会計へ。今日の病院滞在時間は6時間弱。ランチタイムには間に合わずじまいだった。

 今日は途中でウトウトしたり、新しくいらした看護師さんといまいち呼吸が合わず、に何度も読書が中断されて、1冊しか読めなかった。
 篠田節子さんの「仮想儀礼・上」(新潮文庫)。
 帯には「宗教は金になる 神を信じない男が教祖を名乗った 魂の彷徨を描く傑作」とある。主人公はゲーム作家に憧れて職(都庁職員)を失う。管理職試験A合格だの、総務局○○課長だの・・・と、あまりに描写が生々しく、いきなり引き込まれた。土地勘のある地名、建物名等もリアルで、さすがに社会派篠田さんの作品。上下巻とも600ページほどの長編なので、このあと下巻まで読み始めたら家に帰れなくなる・・・とグッと堪えて上巻で一時中断した。

 遅いお昼を食べてから帰宅の途へ。外があまりに暑くてびっくりした。結局、家を出てから帰宅するまで10時間弱。やはり1日がかりだ。日が長くなったので精神的に焦ることはないが、疲れることには変わりない。

 帰宅すると今回のお花が届いていた。白のオリエンタルリリーが2本と、淡いピンクと白のスプレーバラが3本。花言葉はそれぞれ「高貴」と「包容力」だという。

 昨夜、このブログを書いた後、あけぼの会のHPを開くと会長さんのエッセイが更新されていた。「Tさん、逝く」。
 息をのみ、再度エッセイを読みなおした後、しばし呆然として部屋の中を歩き回っていたらしく、気が付いたら夫と息子に「Tさん、亡くなった・・・」と告げていた。

 エッセイによれば、6月4日にストレッチャーで退院された時には、主治医から御主人にあと3日くらい、と余命宣告があったそうだ。が、その後2週間近く、ご家族と一緒に最期の時間を過ごされたという。享年55歳。来月初旬にお誕生日を控えていらした。
 亡くなったのは6月17日の夜だという。奇しくも私の誕生日だった。「私のこと、忘れないでね、治療頑張るのよ・・・」と言われているような錯覚に陥った。
 これからの誕生日は、Tさんの命日ということになる。Tさんはずっと私の心の中におられるのだと思う。10年近く厳しい再発治療に果敢に立ち向かってこられた。私は初めてお会いしてからまだ2年も経っていないけれど、どれほど数知れない再発患者に希望と勇気を与えてくださったことか。

 まだ受け入れるのに少し時間がかかりそうだ。合掌。

コメント (3)
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