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『十二国記』に新作!

2019-10-18 10:53:52 | 本・映画・音楽の感想

シリーズものの小説で、好きなシリーズはたくさんあるけれど、
一番好きなシリーズと言えば、やはり小野不由美の『十二国記』だ。

日本のファンタジーとしては、上橋菜穂子の『守り人シリーズ』もいいが、
一番はやはり『十二国記』の世界に軍配が上がる。
その最新作が18年ぶりに出ると言う。
そして、これが長編としては最後の作品になるらしい。

18年ぶりとはいえ、わたしは最初に出てからかなり経ってから一気に読んだ。
(それ以前もシリーズ名は聞こえていたけれど)
だが、それも5年前になる。

せっかくだから、新作を読む前にもう一度読み直して見ることにした。
今は新潮文庫の方が知られているようだが、わたしが読んだのは講談社X文庫だった。
いつ頃からか小説にマンガタッチの表紙イラストがつくようになったが、
どうにもイメージが違うような気がして、わたしはあまり好きになれなかった。
でも、講談社X文庫『十二国記』の山田章博氏による表紙イラストは大好きだった。
イラストによって、さらに想像力がかき立てられる効果があった。
なにより、登場人物たちがとても魅力的に描かれていた。

でも、当時読んだ講談社X文庫と新潮文庫とでは少しタッチが変わった。
たとえば『月の影 影の海』下巻の表紙を比べてみると――
講談社X文庫


新潮文庫


わたしはやっぱり古い方が好きだな。


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アンソニー・ホロヴィッツ 『カササギ殺人事件』

2019-10-06 14:26:59 | 本・映画・音楽の感想

ミステリーのおもしろさを説明するのはとてもむずかしい。
下手するとネタバレになってしまうからだ。

この小説は、編集者が人気探偵小説の最新作の原稿を読み始めるところからスタートする。
その探偵小説は、1950年代を舞台に、ドイツ人アティカス・ピュントを主人公にした
アガサ・クリスティを彷彿とさせるような正統派「フーダニット」だ。
これだけでも、ベルギー人探偵のエルキュール・ポワロを思い出してにやりとしてしまう。

だが、この作品はそんなに単純ではない。
探偵小説の作者、アラン・コンウェイと編集者たちを巻き込むもう一つの事件、
現代の殺人事件が起きるのだ。しかも、探偵小説は単なる作中作にとどまらない。
現代の事件でこれが重要な小道具として使われるのである。
なんというみごとな入れ子構造!

「本屋大賞」「このミステリーがすごい!」をはじめ、計5冠を達成したのもうなずける傑作だ。

なお、作者は小説を書くほかに、「刑事フォイル」や「名探偵ポワロ」の脚本家でもあった!
わたしはあとがきで初めてそれを知ったのだけど、読む前だったら間違いなく推進剤になったと思う。


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エイモア・トールズ『モスクワの伯爵』

2019-08-20 08:43:38 | 本・映画・音楽の感想

水晶のように透き通った美しい物語――この小説を読んで浮かんだことば。

時はロシア革命後から1954年まで。
貴族が亡命、流刑、投獄、銃殺刑といった運命をたどっていた時代、
ロストフ伯爵はかろうじて銃殺刑をまぬかれたものの、それまで暮していたホテル、
メトロポール・ホテルに死ぬまで幽閉処分となる。
部屋も、それまでの豪華なスイートではなく、狭い屋根裏部屋だ。
そこで暮した32年間の物語。

前に、空港で戻ることも出ることもかなわず、そこで暮した男の話があったが、
(トム・ハンクス主演で映画にもなった)それとはまったく印象が異なる。
ただ毎日を生きるだけでなく、伯爵はきちんと前を向き、日々を送る。
「自分の境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷となる」を指針として。

設定だけを見れば、重苦しい話かと思いそうだが、ユーモアにあふれ、
楽しく、とてもおもしろいエンターテイメント小説なのだ。
それは、作者がアメリカ人だというせいもあるかもしれない。
若い頃ロシア文学を読みふけり、20年以上投資家を職業としていたそうだ。

ホテルを出ることはまかり成らぬものの、そこは、パリのリッツ、ニューヨークのプラザ、
ロンドンのクラリッジに並び称される、モスクワきっての高級ホテル。
さまざまな人々がやってくる。有名女優と恋をし、アメリカ人外交官と親しくなり、
ソビエトの共産党幹部とも友人づきあいをする。
彼を取りまくホテルの従業員たちもまた魅力的だ。
だが、少女ニーナとの出会いは、他の誰にも増して、伯爵の運命を大きく変えていく。

ホテルの外ではスターリンによる恐怖政治の嵐が吹き荒れていても、
ホテルの内側には一種、温室のような穏やかさがある。
もちろん政治の影響はホテルにも及んでくるが、
軟禁されたゆえに、伯爵はそれらから守られてもいる。

最後はちょっぴりミステリー仕立てで、心がじんわり温かくなるようなラストである。


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アラン・ウォーカー『ディファレント・ワールド』

2019-01-20 12:33:44 | 本・映画・音楽の感想

娘が、わたしが好きそうだからって教えてくれたアラン・ウォーカー。
ためしにネットで聞いてみたらすごくツボだったので、
ほ~んと久しぶりにアルバムを買った。



だいたい、わたしの音楽の好みは20世紀で止まっていて、
もちろん21世紀になってもアルバムを買ってはるのだが、
たとえばペット・ショップ・ボーイズとか、20世紀にはまったアーティストなわけで
最近、これはという新しいアーティストに出会っていなかった。

そこへ、アラン・ウォーカー現る!
新しいのだけど、ストーンエイジやエニグマを思い出させるサウンドもあり、
そのあたり、やっぱりノルウェーをベースにしているからかな、とも思う。

さっそくUSBにもコピーして、車でも聴いているのだけど、
リズミカルにして、流れるようなメロディーライン。
印象的なフレーズが耳に残り、とにかく心地いい。

好きな順に並べると――
1.ダークサイド
2.ダイアモンド・ハート
3.ディファレント・ワールド
次点 ロスト・コントロール

アラン・ウォーカーは21歳。
好みの若いアーティストにはもう出会えないかと思っていたので、すごくうれしい。

そうそう、アラン・ウォーカーの曲はビデオクリップもかっこいい。
古代風かつSFっぽく、ドラマチックなので、You Tube でぜひご覧あれ。


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浅井まかて『雲上雲下』

2018-10-14 20:53:26 | 本・映画・音楽の感想



これは、一言で言うと、日本昔話版『ネバーエンディング・ストーリー』だ。
かつてはどの子も親しんでいた昔話が、スマホやゲームに取って代わられて
この世界から消えてしまおうとしている……
そして、その鍵を握っているのは、どうやら一株の草らしい。

もちろんおなじみの昔話の主人公たちもたくさん登場する。
ただ、かさ地蔵に龍の子太郎が手を貸したり、竜宮城の乙姫と亀の話では
浦島太郎とサルの生き肝がクロスオーバーしたストーリーになっていたりして、
本来の昔話とはちょっと違った視点から語られるので、新鮮。
一番メインに据えられて多くのページを割かれているのが龍の子太郎だ。
昔話よりずっと人間的な、少年の成長物語になっている。

さて、深山で、花もつけず、実も結ばない草が長いまどろみから覚めて
思い出した出自とは……
とても日本的な、懐かしい味わいのあるファンタジーだ。


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