J・K・シモンズがいい。なにがいいって、最後の笑顔がいい。
それも、口元は映さず、目元だけで表現しているのがなおいい。
そこで笑顔が出るとは最後の最後まで予想しなかった。
それは『ユージュアル・サスペクツ』のラストと並ぶほどの衝撃。
状況はまったく異なるが。
彼が演じるのはニューヨークの音楽学校の鬼教師フレッチャー。
こんな指導をされたら、誰も耐えられないだろうと思うような
生徒の人間性を真っ向から否定する指導ぶりだ。
そして、才能がない生徒はさっさと切り捨てる。
そんな彼の指導に耐え、19歳のアンドリューは血のにじむような
ドラム練習を重ねる。いや、血がにじむどころか、じっさいに
手から血を滴らせながら、フレッチャーの要求に応えようとする。
だが、けっきょくは彼も挫折してしまう。
何年かのち、再会した師弟。フレッチャーの誘いで、アンドリューは
いっしょに舞台に上がることになる。そこでかけられれた一言の怖さ。
いったんは復讐心に燃えるフレッチャーが勝ちを収めたかに見えた。
しかし、とんでもないどんでん返しが用意されていた。
そして、例の笑顔につながる。そのように変化していく心のうちは、
しかし、それまでの会話から見ているこちらにはっきりと理解できるのだ。
わたしはジャズが好きってわけじゃない。
でも、最後の演奏にはゾクゾクさせられた。
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