最近つくづく思う。
わたしっていい時代に生まれたな、と。
第二次世界大戦のあとに生まれて、以来ずっと、少なくとも国内は平和だった。
女性の自由度が増して、離婚しようと、一人で暮らそうと、何も言われなくなった。
日進月歩の技術革新で、子どものころ読んだSFの中の未来世界を体験できている。
小さい頃から今の便利な機械や装置に囲まれている人と違って、
何もなかった頃を知っているから、そのすばらしさを実感できると思う。
四角い装置にパックを入れて、ほかほかの料理が出てくるなんて、ほんと、空想の未来の話だった。
食事しなくても、色とりどりの錠剤を飲むだけで栄養が足りるというのもあったけど、
今、わたしが毎日飲んでいるサプリを皿に並べてみたら、まさしく当時の絵になる。
食べる楽しみというのは大きいので、サプリ・オンリーにならなくてよかったけど。
テレビだって、まだ珍しかった。
わたしが生まれた年に日本で初めてのテレビ本放送が始まったが、
近所でテレビを買った家があるというので、みんなで見に行った記憶がある。
幼稚園の頃の思い出だ。
うちにはラジオだけだったので、夕方になると、ラジオから流れるラジオドラマに耳を傾けていた。
やがて白黒テレビが来て、それがカラーになった。
でも、アナログ放送だったので、ゴーストが入ったりして、きれいとはいえなかった。
ビデオデッキが来たときは、時間にしばられずに、何度も見られるとうれしかった。
映画だって、映画館へ行かなくても、好きなだけ繰り返し見られるのだ。
デジタル放送になると、せっかく録りためた映像のきたなさにがっかりした。
購入したDVDでさえ、4K放送のクリアな映像にはとうてい及ばない。
去年の暮れ、同じ映像を放送していた紅白で、4Kと2Kを見比べてみた。
4Kだと、2Kでははっきりしない後ろに小さく映っている人の顔までクリアだ。
メディアも変わっていくだろうし、映像をコレクションするのはもうやめた。
たいていのものは、配信サービスで見られる時代だ。
家に初めてのパソコンが来たのは1993年。
日本で商用インターネットサービスが始まった年だが、
今みたいに企業がこぞってサイトを作るようになるのはもっと後のことで
インターネットをのぞいてみても、今のような情報はまだ得られなかった。
ウィンドウズもまだないMS-DOSの時代で、パソコン通信がメインだった。
しかも、ダイヤルアップ接続で、電話機にモデムをつないでいた。
遅いし、電話料金がかかるしで、時間を気にしながら使っていた。
接続方法は、ダイヤルアップ接続→ISDN→ADSL→光回線と変遷していくが、
十数年でここまで進歩したのは、すごいとしか言いようがない。
余談だが、最初にコンピューターに触れたのは大学のとき。
最新型との話だったが、本体は教室ひとつ占拠するサイズ。
そのくせ、今のPCほどの計算能力もなかったし、スマホみたいな多機能性も持たなかった。
プログラムはなんと、パンチカード!
これを使ったことがあるというのは、けっこう貴重な経験かもしれない。
身の回りを見回すと、変化はあらゆるものに及んでいる。
少しずつ、回想してみようかな。