「日本水フォーラム」事務局長の竹村氏の話を興味深く聞いた。国土交通省官僚出身でありながら独自の文化論を展開する異色の人だ。
特に興味深かったのは、女性が水作業から開放されるにつれ寿命が飛躍的に延びたことを文化論的に論述したことだ。まさしく的を得ている。水道が引かれることにより水汲みの重労働から開放され、それまで男性よりも短命であった女性が男性の寿命に並んだ。さらに電化製品の普及により家事労働の炊事・洗濯など水周りの仕事が飛躍的に軽くなった。そのことにより女性の社会進出が進み、合わせて寿命が大幅に伸び、今では男性のそれを大幅に上回るようになった。
また、平均寿命の絶対値が伸び始めた契機は、水道普及の開始よりも、むしろ水道への塩素消毒が始まり、そのことが乳幼児の死亡率を低下させたことが大きく起因しているとのことだ。現在では何かと悪く言われる「塩素」も人類の進歩には欠かせな物のようだ。
てなことを拝聴した後、仲間と人形町の「笹新」へ。まだ五時前でもあり暖簾は店の中、甘酒通り沿いの数件手前の焼き鳥「十五」へ。一列カウンターは10人も入れば一杯だが二階もある。まだ五時前でもあり誰も居ないカウンターに席を取る。メニューには大山地鶏と普通?の焼き鳥がある。黒ホッピーも置いてある。ビールを頼み、大山地鶏の串の数種類をタレと塩で注文。中ぶりの串だがプリプリ感がある。本当は二種類の鳥を比較しなければ、普通舌のオジンにはその良さは判らないのだが。
時刻も六時過ぎ、暫し、店の数品を頼みビールのお変わりをした後、お目当ての「笹新」へ場所替えすることとした。意外なことに「飲み食いグルメ」の相棒が始めてだと言う。既に笹新のカウンターは七分の入り、相変わらず中年カップルが多い。カウンターに座るなり金目の煮付けと多分「白鶴」の燗酒を注文。ここの燗酒は2合徳利だけだ。いい塩梅だ。カウンターの上は煮付けなどが目白押し、魚中心の料理で目移りしてしまう。未だ仄暗い夕暮れ時、翌日も飲み会、シラフの顔して我が家で晩酌といくかと人形町甘酒横丁を後にする。