力動的な面接は、そこに持ち込むこと自体、僕のようなヤブには簡単ではない。というか、そうするかどうかを決定するのは患者/クライアントであって治療者ではないという感じをもつ。
その人は既に70代に達した女性だが、外貌はともかく話に耳を傾けている限り、少しもそういう年齢には思われない。むろん、ずっと若いのである。もういいかげん、暦年齢から精神内容を推し量るという悪癖から自由にならないといけない。
そもそもは「二階に住まわせている同居する孫のたてる音が不安でならない」という相談だったのだが、ほどなく自主的に自由連想を始めるようになった。その過程をふりかえってみて、たとえば柔道における寝技の手練れが、ごくあたりまえの差し手争いからスルスルと得意の形へもちこむような ~ 柔道は高校の体育でやっただけなのに知った風なことを言うが ~ 迷いのない周到さを感じて舌を巻くのである。こちらが口を挟む余地など、ほとんどなかったような気がする。
この人がまだ夏の暑い頃、夢の報告をした。これまた、力動的に進めようとしては失敗ばかりの過去の経験の中には、ほとんど記憶がないような鮮やかさである。それは比較的単純なもので、治療者(僕だ!)が長いハサミで彼女の髪を切っているというものだった。報告を受けて型どおりに随伴する感情や連想を尋ね、何かしらの進展があったはずである。
つい最近になって、彼女がこのことを蒸し返した。
「あの時先生は、『夢の中で私は白衣を着ていましたか?それとも私服でしたか?』とお訊きになったんです。私は『覚えていません』と答えたんですけれど、先生はなぜあの時、そういう質問をなさったんですか?」
さて、と。
僕がどう答えたか、どう答えるべきだったか、それもひとつの論点だが。
そういうあなたは、なぜ何ヶ月も経ってからこのことを思い出したんでしょうね。
ちなみに彼女は、「考えてみると、どうも先生は私服でいらしたような気がする」と今になって付け加えたのだ。ほんとかな?
Kokomin さん、眠気がいっぺんに醒めたでしょう?CATの会でとっくり話し合いましょうね。
皆さんも、ぜひどうぞ。
その人は既に70代に達した女性だが、外貌はともかく話に耳を傾けている限り、少しもそういう年齢には思われない。むろん、ずっと若いのである。もういいかげん、暦年齢から精神内容を推し量るという悪癖から自由にならないといけない。
そもそもは「二階に住まわせている同居する孫のたてる音が不安でならない」という相談だったのだが、ほどなく自主的に自由連想を始めるようになった。その過程をふりかえってみて、たとえば柔道における寝技の手練れが、ごくあたりまえの差し手争いからスルスルと得意の形へもちこむような ~ 柔道は高校の体育でやっただけなのに知った風なことを言うが ~ 迷いのない周到さを感じて舌を巻くのである。こちらが口を挟む余地など、ほとんどなかったような気がする。
この人がまだ夏の暑い頃、夢の報告をした。これまた、力動的に進めようとしては失敗ばかりの過去の経験の中には、ほとんど記憶がないような鮮やかさである。それは比較的単純なもので、治療者(僕だ!)が長いハサミで彼女の髪を切っているというものだった。報告を受けて型どおりに随伴する感情や連想を尋ね、何かしらの進展があったはずである。
つい最近になって、彼女がこのことを蒸し返した。
「あの時先生は、『夢の中で私は白衣を着ていましたか?それとも私服でしたか?』とお訊きになったんです。私は『覚えていません』と答えたんですけれど、先生はなぜあの時、そういう質問をなさったんですか?」
さて、と。
僕がどう答えたか、どう答えるべきだったか、それもひとつの論点だが。
そういうあなたは、なぜ何ヶ月も経ってからこのことを思い出したんでしょうね。
ちなみに彼女は、「考えてみると、どうも先生は私服でいらしたような気がする」と今になって付け加えたのだ。ほんとかな?
Kokomin さん、眠気がいっぺんに醒めたでしょう?CATの会でとっくり話し合いましょうね。
皆さんも、ぜひどうぞ。