2015年7月5日(日)
つい今し方おわった、今朝の「著者に聞きたい本のツボ」に、脳科学者の川島隆太氏が登場。自著『ホットケーキで脳力が上がる』について語ったのだが、これは羊頭狗肉の反対で、タイトル以上にすごいことが書かれているようだ。
出発点は、テレビゲームにふけっている子ども、否、人間では、予想に反して前頭前野が働いていないという観察事実である。イヤイヤながらさせられている読み書き計算の方が、はるかに前頭前野を刺激するのだそうだ。脳に対するそうしたダイレクトな負の効果にも増して、ゲーム/スマホ浸りが人と人のコミュニケーションを骨抜きにすることを氏は警告する。授乳の際にもスマホ/ケータイを手放さず、赤ちゃんの顔よりも画面を見ている母親が今では多数派だと、保健師から憂慮を伝えられたらしい。
それが「あとがき」の啖呵につながる。
「スマホやめますか?それとも人間やめますか?」
むろん、今年4月4日の信州大学学長・山沢清人氏のメッセージを踏まえたものだ。
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スマホを使う子どもほど成績が悪いというデータがあるらしく、氏はこれを「スマホ使用によって、せっかく学習したことが消去されているらしい」と解する。僕はスマホは使わないが、別のことで深く思いあたるところがある。信州大の件では、現に使っている人々から「スマホ抜き生活はありえない」等、強い反発が出た。当然予想される反応だが、僕にはアルコール依存症の「否認」の病理に一脈通うものが感じられてしまう。
高みの観察者としての発言ではない。ことの性質上、あらいざらい書くわけにはいかないが、経験に根ざして痛感することだ。ほんとうに、スマホが国を(というより民を)滅ぼすかもしれない。そして「自然」との接触が、これに対する最強の予防策であると信じる理由がある。
読まなくちゃ、勧めなくちゃ!
『ホットケーキで「脳力」が上がる』 川島 隆太 (著) 小学館