勝沼さん、ありがとう。
「お雇い外国人――明治日本の脇役たち」 (講談社学術文庫) [文庫]梅渓 昇 (著)
とりあえず、これを読んでみよう。
「明治お雇い外国人とその弟子たち」片野 勧 (著) 新人物往来社
こちらはかなりの力作と見えますが、2011年の出版なのにもう品切れみたい。
古書で探します。
尾崎さん、ありがとう。
> 「ほどほどのケンカは創造的なコミュニケーションの一部」を読んで、「明日のジョー」を連想しました。ジョーは孤独で、ケンカ屋ともいわれましたが、リングで殴り合うことだけが唯一の血の通うコミュニケーション手段でした。そして、試合をするごとに愛情深くなりました。
ジョーのケンカは「ほどほど」の段ではない、命を賭けたコミュニケーションだった。
少年院に入る際の心理検査(?)で、すべての連想キューに対して「血」と回答していた場面を思い出す。
たこ八郎さん(仙台市出身、1940年11月23日~1985年7月24日)がジョーのモデルと知ったときは、かなり衝撃的で考えさせられた。「幸せの黄色いハンカチ」で高倉健扮する主人公と路上で乱闘する場面は心底恐かった。
ケンカは盤上に限りましょう。
*****
先の日曜日に放送大学(院)のオリエンテーションがあり、入学式のない放送大学の事実上の今年度始業。
前日、S君から届いた分厚い封筒を抱えて出かける。
中身は彼がメールで言っていた、「神経心理学」最近号のコピーや彼の論文の抜き刷りである。
「いつも重箱のすみをつつくような症例報告ばかりなのですが今回のは読みごたえあります」との託宣どおり、「神経心理学を哲学する」に始まる重厚深遠なコレクションらしい。
物理学と形而上学は日本語では似ても似つかない二語だが、もともと physica と metaphysica だ。
医学はいつの間にこんなにも metaphysica から離れてしまったのだろうか。
S君に感謝しつつ、ゆっくり読み進める。
オリエンテーション午前の部は全体会で、全国から集まった80名からの新入生が神妙に大会議室を埋めている。
今年からコース主任のK先生の基調スピーチ、歯切れの良い関西訛りでポンポン決めていく。
「必ず何かの学会に加入すること」
「職場と同じでホーレンソーが大事」
「しっかり先行研究調べをすること。誰もやっていないテーマは、よほどユニークか全く無意味か、二つに一つ。」
おっしゃることが、いちいち実践知に裏づけられていて無駄な自己宣伝がない。だから気持ちいいのだ。
司会役があたったS先生、
「僕は放送大学の頂点を極めた人間、ただし体の大きさで」
と笑いを取ってなごませる。
186㎝の長身なのだ。
隣に座ったY先生が合間に話しかけてこられる。
「大学内の人権教育の実情調査をテーマにして裁量経費を申請しようと思うんですが、」
睫毛の濃い、人なつこい笑顔が輝いている
「よろしかったら一緒にやりませんか?」
一も二もない、この人もまたハッタリというものがなくて、自分のすべきことの連鎖を一筋に追っている。
午後はゼミに別れてのミーティング。
昨年から状況が変り、僕の担当する院生数がぐっと少なくなった。
今年度入学者は男性ばかり3名、居住地が北海道と九州と神奈川だ。
ゼミをどうやって持ったものかと苦笑する。
昨年までは近畿や中部にまとまった数の院生がいたので、東京・大阪・名古屋と3箇所のSCを毎月巡回したものだったが。
今年卒業したSさん、休学中のY君が応援にやってきて、それぞれ自分の研究をパワポで紹介する。
新入生3人の平均年齢が53歳、僕もSさんもそれより上で、Y君だけが30代の若さだ。
しかしある種の人生経験はY君がいちばん豊かであるかもしれない。
お父さんは「個人事業主」だったが、顧客には小指の先がない人が多かったという。
彼の学童期に仕事が失敗し、Y君は新聞配達などしながら上へ進んだ。今時でも苦学生というものはいるのだ。その後、地上げ屋、借金取り、スポーツインストラクターなどを転々とし、資格の類いは20を超えて所有する中に、アメリカで取ったMBAも含まれている。
暗さもきわまる性格だったのが29歳で人が変ったという。
何が閃いたのかロボットスーツに惚れ込み、その営業に喜びを見出して今は国の内外を駆け回る毎日。
「この間は、ドイツ人を笑わせてきました」
「ドイツ語で?」
「いえ、英語で、というか日本語で」
そうは見えないが、要素知能は相当に高いのだ。
「うんと社会貢献したら、愛人3人ぐらいは許されますかね?」
どこからそういう発想が出るかな~・・・
ユニークな個性を見ると、出身地が気になるのは僕のクセのようなもので。
こいつ、どこの人間だろう、どういう土地からこういうフシギな人格が湧いて出るものだろうと、考えても見当がつかず、ここは直接訊いてみることにして、答にのけぞった。
「愛媛です」
「えひめ?」
「先祖代々、松山です」
「まつやま?」
「先生、あの辺わかりますか?詳しく言えば、オヤジは菊間で、オフクロが松山なんですけど」
「きくま?」
菊間と松山、そのちょうど真ん中がわが父祖の地ではないか。
気が遠くなった。
こいつと俺と、同郷かぁ、う~~~ん・・・
オジサン5人がY君を囲んで痛飲、帰り道は形而上学もデカルトもどこかへ消えてしまっていた。