南紀白浜よりも少し南下した南白浜あたりの海岸の雰囲気が非常にいい。富田川という川の河口には塩湿地性のヨシ原が昔ながらに広がっていてカモやその他水鳥が大量に群れを成し隔絶した隠れ家のように楽園を形成している。川から海へと注ぐリバーマウス付近の砂嘴には焚き火に非常に適したおびただしい流木が打ち上げられていてキャンプするのに最適だ。砂嘴の向こう側には秘境的な感じの断崖絶壁がそびえていて美事だがそいつは特に早朝すばらしく、水面からいっせいに立ち上がる霧のベールに包まれ荘厳な無言の音楽を奏でる。同じくヨシ原にも幻想的な霧が招かれピーンと張り詰めた冷気を裂くようにカモがガアガアおしゃべりする。川から海に出る開放感、荒海から静水の河口に入っていく安堵感、どちらも味わい深くカヤックで何度も何度も往復したくなってくる。川から海に出たすぐの岩礁地帯ではでかいヒラスズキが釣れることで有名で朝もはよから釣り人が竿を振っている。うねりが入ると砂嘴のあたりでサーフがたつのでカヤックサーフィンもできる。
今度こっそりカモをとっ捕まえて浜でカモ鍋キャンプでもしてみるのも一興。
ついでにヒラスズキのカルパッチョとムニエルなんかもいただき、ワインをボトルごとラッパ飲みして満点の星を眺めまくりながら潮騒の音を聞いて眠りたい。