(写真;湯浅湾の秋の夕日を海上で眺める)。
めっきり涼しくなった秋の海上で、
ゆるやかな波うねりの上をすべりゆくように進む感覚。
汗だくの真夏の暑さの中では、しばらく忘れていた心地よさです。
波によって、
硬い感じとか柔らかい感じとか、
トロっとしてるとかギザギザしているとか、
身を置いたときの触感にも色々あるけれど、
いずれにせよ海水に共通しているのは、
ややネバっとした粘性があること。
水ってH2O という化学式で表わされるけれど、
水素原子が2つくっつくことを水素結合と言い、
その結合によって水特有の粘性が生まれる。
・・・・なんてことをものの本に書かれていたりしますが、
どちらかというと川の水や湖水よりも海水の方が、
塩分濃度の関係なのか、
カヤックで身を置いたときに、より粘性を感じます。
で、そいつが心地よさを生むんですよね。
「自然との一体化」なんて言い方があるけれどよく言ったもので、
メロウな波うねりに身を委ねていると、
カヤックと海とがピターっと、
何といいますか吸着したような感じがして、
お尻あたりを介して、
海のリズムと完全に同化した感覚になったりしますね。
そして何やら身体の奥深くから、
湧きあがってくるフィーリングがある。
風が吹き、雲が流れ、波が起こる。
雲の切れ目から太陽がのぞくと
海面がキラキラキラキラ輝きはじめる。
そしてその向こうで小魚たちがいっせいに跳躍する。
そんな何気ない一連の流れが、
海との一体感によって、めっちゃナチュラルで心地よく、
それらはまるで自分の身体の奥底からほとばしり出て、
物質化した現象ではないか、と、錯覚する瞬間すらあったりもする。
一筆描きで繋がる自然のエコロジカル・グルーヴのド真ん中に自分がいて、
海とか空とか太陽とか魚とか地球とかを、
踊ってる感覚。
あるいは、刻一刻と変化する自然現象を、
身体の奥深くで、歌ってる感覚。
と、こういう感覚ってやはり言葉にしたらヘンになるもんだけど、
あえて、そんな感覚ってどんなんやねん、と問われれば、
ジャズのいわゆる即興演奏に近いというか、
まるでそのもののような感じがしますね。
そもそもジャズと言うか、ブラックミュージックの、
ちょっと粘り気のあるグルーヴ感覚って、海の波うねりっぽいですしね。
うねったリズムに乗りながら、
刻一刻と変化する風のように、
生き物の鼓動のように、
一瞬たりともとどまらない夕暮れ時の海面の色彩のように、
流れゆく即興演奏。
ま、ジャズでも凡才の人は即興のようでいて、
ただ音の上っ面をなぞってるだけだったりで、
あんまり内奥からわき出るようなスリルがなかったりするのですが、。
しかし天才の人は本当に内側からブワーっと音が溢れ出るというか、
魂の泉からわきだすようなフレーズを、鳴らします。
人間の持つ、言葉では言い表せない独特の豊かな感覚を
「よくぞ代弁してくれた」、みたいなのが彼らのすごさなのですが、
その感覚。
で、ビビビーンとくる人は結構いますけれども、
魂の内側から流れ出る音符を、よどみなく歌わせるやつ。
それも、めっきり涼しくなった秋の海上で、
波の上をすべりゆくように進む中、
「キラキラした色彩感覚溢れ出る喜び」
ってかんじをより豊かに押し広げてくれるような触媒は、
たとえばこれなんかがそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=l7YAYQxmLh0&feature=related
この、ジョージ・ベンソンって人の曲調は、なんか中途半端に古臭く感じられてあえてちゃんと聴いたことがなかったけれど、それはスタジオ録音の音作りの問題で、より即興性が色濃いライヴバージョンをじっくり聴くと、瞬間瞬間で魂の内側から湧きあがってくる音を、ギターでよどみなく歌わせていることがよくわかります。すごいなと思います。
ちなみにこの人の若い頃は超絶テクを披露しまくっていたようですが、いくらテクニカルになっても「心地よく歌う」という基本から離れることなく、とんでもない天才だなと思います。また、神がかったようなソロを弾き終わった時の笑顔ときらめく汗が最高です。
http://www.youtube.com/watch?v=r0KOzrMUt10&feature=related
おっさんになって一音一音に年季が増したこれなんかもめちゃ泣けてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=UIUcrpgXATw&feature=related
ま、これなんかも最高ですね
http://www.youtube.com/watch?v=-PUB1ko1vOo&feature=related
シーカヤックのフィーリングを豊かに押し広げる最高の触媒。
ま、よかったらチェックしてみてください。
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