星月夜使いきったる一日かな 洋子
老いて今なるほどなりと菊の酒
テレビ消しLED消し星月夜 薪
浮かびきて秋雲を呑む池の鯉
星月夜それどころではありません 炎火
天高く然も三六〇度
霧の朝心の底を覗き見る 鼓夢
ヒラメ筋痛みを増して秋となる
人疎ら声援目立つ体育祭 豊春
蟷螂や動かざること草の如
星月夜風に吹かれて千鳥足 一煌
新蕎麦の味深し色深しかな
風にきく隣りの庭の猫じゃらし 歩智
十三夜ピカピカの海赤く燃え
色鳥や鏡台に瓶のいろいろと 章子
なんとなく五感の冴える秋の夜
食べたいが木成りの柿に届かない 余白
小春日をAからBまで歩き行く
障子貼り終えて一服日のやわし 稱子
皆といてされど一人の愁思かな
秋風や湯呑ほどよく渇きゆく 雲水
冬近しスマホ探して日が暮れる