父の日や本屋床屋と縄暖簾 豊春
ビル谷間社を覆う夏木立
父の日の話も無くて八十路かな 侠心
ふうわりと鷺高く飛び梅雨真近
俎板も食器も白く更衣 洋子
美しき脚の増えゆく梅雨晴間
オリーブの花ほろほろと物忘れ 薪
雨降山威儀を正せる植田かな
梅雨晴間家中風の駆け抜ける 稱子
天空の青より青し濃紫陽花
二百個のさくらんぼたべ姉逝かん 歩智
雨戸開くちょっと可愛い守宮落つ
パレットに額紫陽花を搾り出す 炎火
藪枯し鉄を手にした弥生人
サマードレス君の鎖骨に恋をして 海人
青嵐湖面に描く風の道
炎昼にうつらうつらと猫になる 清海
アジフライ美味しくなあれ小骨抜く
車窓より見える早苗に祖母思う 余白
幼柿保護色となり実り待つ
山に住み都忘れの株増やす 雲水
伽羅蕗の黒きひかりや冷やし酒
シモツケ(下野)の紅白
オオバギボシ(大葉擬宝珠)