泥つきのままの景品菊祭 洋子
水引の花に触れたる犬の腹
重陽や旗さんざめくクジ売場 炎火
寺男手押車に紅葉積む
長雨の止みて久しき秋日差 さくら
泡立草どっと日暮れて急がねば
秋海棠散り尽くしなほ茎の紅 佳津
同胞の欠けてゆくなり吾亦紅
重陽や志野のぐい呑埃積む 豊春
山霧や白々ふんわり蜘蛛の網
散歩して土産は裾の藪虱 海人
岩めがけ小石投げたる秋の暮
便箋に消しかす溜る夜長かな 美部
もってのほか食べ残す友以ての外
ラケットの芯捕う音天高し 薪
五百羅漢思い思いに月を待つ
プリン買う坂の行列いわし雲 稱子
相傘の肩に重陽の雨やはし
晩秋の生き物種を残し死す 余白
秋物産アンテナショップ試し食い
秋灯やにじむ車窓に映す駅 沙会
生きること楽しきことと栗拾う
高き声リーチを掛けて良夜なり イヨ
香り立つはるか遠くの金木犀
通夜の雨ひととき止みて秋の星 鞠
晩秋や江の浦の名の能を舞う
柿トマト梨ジャム朝のイタリアン 雲水
西天を占めて富士あり初紅葉
ダイモンジソウ(大文字草)