蜘蛛の網の一本を切る蜘蛛落ちる 海人
鳶の巣と大海原と浜万年青
蝉時雨「この世の果て」を歌いだす 沙会
名も知らぬジャズにときめく晩夏かな
ホルムズ海峡や如何に遠花火 炎火
日焼け止め有り〼の旗雨の浜
羅を着て後れ毛のまとわりぬ 稱子
夏雲の風にとかれてゆくかたち
蓮池の心臓ぽっと開きけり 薪
七夕やAIロボは美少年
ぬか漬けの茄子紺光る朝の膳 イヨ
雨蛙つやつやの肌正座して
麦藁にトリコロールのリボンあり 裕
片蔭に信楽の壺汗をかき
犬連れて夏越の茅の輪くぐりたり 洋子
夏帽の古さ気になる同窓会
むぎこがしテニスコートのひとやすみ 歩智
鬼百合の野面をなめるゲリラ雨
日盛りや留守猫床へ潜りおり 豊春
雲の峰樟の重なる伊豆権現
近江路は早苗手を振る安土城 余白
絶え間なく雨が身を打つ合羽通して
選手らに片蔭もなし草野球 貴美
カビ臭を気にしてならぬ座禅堂
堀文子画集の一服サクランボ さくら
掛軸を守り切れない晩夏かな
夏帯のひと色好み外出す 鞠
凛として日の本木槿闇の中
夏椿たとえば幼き母の写真 雲水
睡蓮や金魚言葉の泡三つ
ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)
いつのまにやら庭に咲き始めました。色が鮮やかで、気に入っています。外来種で繁殖力が強いらしいので、増え過ぎないよう気を付けたい植物です。