八メートル幅の道路の真ん中から一本の蜘蛛の糸が垂れていて、左右の木立の枝にも一本ずつ繋がれ、真ん中に立派な蜘蛛の巣があり小さな蜘蛛がいた。私は、驚きと共に、どうやって巣を作ったのだろうという疑問が浮かんだ。
一番上までは自力で登ったとしても、左右に糸を張るのは至難に違いない。可能にするのは、やはり風だろうか。海風に揺られて右の木に届き、山風に吹かれて左の木に届いたのだろうか。この句を見たとき、そんな情景を思い起こした。
この句には、大泥棒犍陀多が、後から登ってくる罪人たちに「下りろ」と喚いたとたんに糸が切れ、真っ逆さまに元の地獄に落ちた話。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」が、底辺に流れているのかもしれない。
コマツナギ(駒繋ぎ)