肴には古漬胡瓜月の庭 裕
山盛りの胡瓜漬け込む白き腕
草紅葉口紅つけぬ半年間 洋 子
ドーナツの穴から見える彼岸花
うろこ雲ガラスのビルをパッケージ 炎 火
鶏頭の他にもいろいろ牛舎跡
すれ違うたばこの香り鰯雲 余 白
神の手が水振りまいて秋はじめ
ガラス戸の逆さ懸垂いぼむしり 豊 春
古鞄蟷螂這わす蚤の市
今年米片手でたりぬ配り先 歩 智
にぎやかにお墓の話敬老日
護摩をたく僧の緋ころも赤トンボ 稱 子
口笛の少年が吹く「里の秋」
翅畳み閑かな交尾秋の蝶 薪
谷筋に添う稔り田の黄金かな
松虫を夜風が闇に誘い入れ 沙 会
一望を一筆にする雨の秋
秋黴雨正体不明のもの怖し 凛
小鳥来る今も絵本の愛読者
待つわなど軽く言ひしが秋の雨 さくら
かと言って何事もなし敬老日
秋麗にFM熱海我が家から 一 煌
敬老日孫の手型とひとり酒
朝は白徐徐に徐徐にと酔芙蓉 パ ピ
台風の目の中は静かだと言うが
菊活けて貴き一会とぞなりぬ 鞠
秋霖のこころ透きたることばかり
朝明の窓打つ風は秋の音 イ ヨ
雲の中見上げて寂し後の月
長雨が晴れて高まる秋の空 貴 美
秋霖や窓ふきその他あと回し
雨の色陽の色加え初紅葉 雲 水
イタリアンシェフ居酒屋で新さんま
ヤモリ(守宮、家守)