飲むほどに肴は焼いた唐辛子 沙会
唐辛子舌をちゞめて蕎麦啜る
荒畑にメタリックの艶唐辛子 豊春
秋夕焼おさげ姉妹のランドセル
秋風や開いた烏賊の洗い張り 炎火
エンディングはGの音の法師蝉
針のせてちょっとマイルス灯親し 鯨児
夢の瀬に小さき物音小鳥くる
曼珠沙華一糸一滴輝けり 黄玉
露草と蜜蜂を撮る私がいる
暮れのこる南蛮辛子馬籠宿 薪
鎮魂の海仄白き無月かな
満月に吸い上げられて逝きし人 洋子
味噌汁を深く味わう秋の朝
新涼や朝の広場の太極拳 凛
あのことは無駄じゃなかった唐辛子
ピーヒョロロ二羽で呼び交ふ秋の海 パピ
金秋やイルカのようにパラリアン
灯火あり草の中から虫の声 歩智
天国と地獄同時の唐辛子
地図にない小径に高き葛の花 さくら
保線区の鉄塔点検秋暑し
丁寧な草刈り後や彼岸花 光子
夜なべする昭和の母の背中かな
朝獲りの今宵に刻む唐辛子 イヨ
故郷の段々畑曼殊沙華
大島のぼやけて見える敬老日 裕
唐辛子立ち喰蕎麦に山と盛る
天高し凱風快晴今日の富士 貴美
逢えなくて月仰ぐ今日は仲秋
コロナ中魔除けで飾る唐辛子 鞠
秋海棠銀の露玉ちりばめて
天からも地からも降れり虫しぐれ 雲水
焼酎の氷コロンと良夜かな
タムラソウ(田村草)