一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2287  秋暑し象の花子の鏈錆び  吟

2022年09月04日 | 

(あきあつし ぞうのはなこの くさりさび)

  日本全国各地に動物園があって、上野動物園など子供たちを中心に活況を呈しているが、世界各地から希少な動物を集め、狭い檻に閉じ込めて飼育することに、私は反対する。何故なら例えば、宇宙人がやってきてあなたを捕らえ、地球という所に面白い生き物がいるといって連れてこられ、宇宙人の動物園の檻の中で展示されたら、ぞっとしませんか。

 子供たちは、大きいもの、強いもの、可愛いものが特に好きらしい。つまり動物園での人気者は、象、キリン、虎やライオン、そしてパンダ、ペンギン、ラッコ・・・なのだ。

 さてこの句、人気者の象が錆びた鎖に繋がれている。ここには象の尊厳を奪っている人間の鎖という傲慢があり、秋暑しという季語によって、象へのいたわりと共に、作者の嘆きや悲しみ、そして憤りが感じ取れるのである。

 作者によると、戦前戦後の食糧不足により、動物園が次々と閉鎖され、多くの動物たちが餓死させられた、という。アフリカのみならず、食料自給率の低い日本の国民も、気候変動や戦争などによって輸入できなくなれば、餓死させられるかもしれない。他人事ではないのだよ。

キョウチクトウ(夾竹桃)

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