私は、他人の句集はなるべく読まないことにしている。つまらない俳句には、がっかりする。逆に、素晴らしい俳句に出会ったら、もうその句を作ることはできなくなるから、やはりがっかりする。
それよりも、外へ出かけて下手な一句をひねる方が余程良いのだ。ところが、本をくれる句友がいるから困る。貰ったら読まねばならない。
この句は、東京やなぎ句会編の「五.七.五 句宴 四十年」の中にある。「開帳をこんな風に使っていいのか?不謹慎だ」などと言うなかれ。「なんでもあり」が俳句なのだ。
しかし、露骨過ぎて、上等な句とはお世辞にも言えないが、六丁目さん(永六輔さん)の、この十年の自選30句に入っているのだから、作者としてはご自慢の一句らしい。
本来の季語「開帳」は、ふだんは閉じてある寺の厨子(ずし)の扉を、特定日に限って開き、中の秘仏を一般の人に拝ませることで、立派な春の季語である。