宇宙船から地球を見ると、夜の日本列島は煌々と輝いている。戦後の高度成長が進むに従い、次第に空が明かるくなり、今や日本から天の川を肉眼ではっきりと認識することは難しくなってしまった。全く残念でならない。温暖化や石油の高騰を云々するよりも、無駄な照明を消したらどうだろうか。
さて掲句は、まだまだ日本が暗かっただろう時代の句だ。「妻が二晩留守だったが、その二晩素晴らしい天気で、天の川が良く見えた。」
妻と一緒に見られなくて残念な気持ちと、どうしているのだろう、この天の川をかの地で見ているだろうか、という妻を思いやる気持ちもあるだろう。作者、中村草田男は、日野草城と共に愛妻俳句の名手。
天の川と言えば、芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」が有名だが、この愛妻俳句は平和と自由、男女平等など、時代が生んだ象徴と言えるかもしれない。
最新の画像[もっと見る]
- 3057 第506回 多留男会 3週間前
- 3056 年とらぬ老人ばかり盆踊り 流水 3週間前
- 3055 水風呂にゆっくり浸かり夕端居 釣舟 2ヶ月前
- 3054 炎帝や微笑含む辻地蔵 豊狂 2ヶ月前
- 3053 チンドン屋ピアノ初戀富士登山 喜孝 2ヶ月前
- 3052 かがり火の音たくましや鵜飼舟 信天翁 2ヶ月前
- 3048 合併に市となる離島山笑ふ 巣鳩 6ヶ月前
- 3046 あーでもないこーでもないと吊るし雛 心 6ヶ月前
- 3044 山笑うカードで太る財布かな おぼこ 7ヶ月前
- 3043 レターパックに友の手作り雛人形 淡白 7ヶ月前