今日は立夏、暦の上では今日から夏である。立夏と言ったらこの句を思い出す。余りに有名だから載せたくない気もする。しかし、載せることにした。
太平洋戦争の最中、女性たちは縞木綿や藍絣のもんぺの地味な服装だった。今のイスラムの女性たちを想像したら良かろう。
そして、女性たちに終戦の1年後の夏が来た。と同時に女性たちは、白の木綿のブラウスを着出したのであって、別に女性たちの乳房が変化したわけではない。
これは65年も前のことで、現在と比べたら、露出度ははるかに地味だったに違いない。しかし、三鬼は恐るべきと言っている。恐るべきは、「君ら」と「乳房」のどちらにかかっているかによって、意味が違う。私は、あえて「君ら」にかかるを取りたい。
この句の主題は、「敗戦後の日本は、これからどうなっていくのだろう、という作者の想い」なのである。うら若き女たちの着衣の変貌ぶりを表現することによって、作者の危惧を表したのだ。又、君らの「ら」によって、この句が社会性を帯びていることも分かる。
ホソバテンナンショウ(細葉天南星)