(えんていや ほほえみふくむ つじじぞう)
真夏の暑さを表現する季語には、暑し、燃ゆ(炎ゆ)、灼く、油照り(脂照り)、暑熱、暑気、大暑、極暑、酷暑、猛暑、溽暑、炎暑、炎天、炎昼、炎帝と、様々である。
この句の「炎帝」とは、中国太古の伝説的な神の名で、南方に位置し、夏の季節をつかさどる神。五行思想で〈火〉にあたる位置にいるところから,三皇の一人,神農と結びつき,炎帝神農氏と呼ばれ,伏羲と黄帝の間に入る帝王として歴史化されたそうである 姓は姜(きょう)。
さてこの句、暑さ極まる炎天の中、触ったら火傷するかもしれない高温の石地蔵様、暑がるどころか、微笑んでいるというのだ。それに対して人間は、暑い暑い、何という暑さか、温暖化の影響だろうか、冷房をどうするああする、などと不平不満である。この辻地蔵のように微笑んで過ごしたいものである、と作者は思っているに違いない。
ところで、炎帝も神、地蔵も神。天にまします炎帝と地にまします辻地蔵。神と神が対峙して、一体何を語り合っているのだろうか。愚かな人間を懲らしめようと、大災害の鉄槌を与えようとしていなければ良いのだが・・・・・。いずれにしても、その困り果てた人間を救うのが地蔵のはずである。
ヤマユリ(山百合)