社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

9月4日(日)

2016年09月22日 17時21分22秒 | 2016年

  6時起床。睡眠時間は6時間に満たないが、時差ボケで朝早く目が覚めてしまう。部屋の窓を開けると、キューバ独特の空気の匂いがする。

  レストランで朝食。オムレツを焼いてもらい、朝からがっつり食べる。

  今日は1日自由観光である。さっそく、ハバナの旧市街を散策する。当たり前のように、クラシックカーが走っている。

泊まっているホテルの外観。

  歩き始めて5分もしない内に、キューバ人のカップルに話し掛けられる。日本から来たと言うと、「日本は大好きだ」「いつか日本に行きたいと思っている」、とかなりフレンドリーになり、「俺がこの辺を案内してやろう!」ということになる。前日、ガイドの濱田さんから「キューバ人は基本的に親切ですけど、向こうから積極的に話しかけて来る人にはちょっと気をつけてください」と言われていたにも関わらず、これは面白そうだなと感じ、妻の不安そうな表情に気付かない振りをして、付いていくことにする。その結果、連れて行かれたのは現地の人たちのアパートの中にある闇葉巻売場だった。これはやばいかなと思ったのだが、葉巻を買う気はないと言うと、あっさり解放。というか、その瞬間に私たちへの興味を完全に失ったようだった。「さっきまでの親切さはどこに行ったんだよ!」と思ったが、なかなか入りづらい現地の人たちの住居に入れたのは良かった。

  気を取り直して、ぶらぶらと海沿いまで歩いてみる。海(というか運河)沿いに出ると風が気持ち良いし、クラシックカーも様になっていて、キューバに来た感が増す。また、多くの馬車が休憩していて、馬たちも可愛かった。

  観光地として有名なオビスポ通りを歩き、CADECA(両替所)で現地通貨・ペソを手に入れる。ちなみに、観光ガイドなどでは日本円から直接両替することは難しいと書かれていたりもするが、少なくともハバナに関しては、日本円からの両替は普通に出来る。また、キューバの通貨制度は少し複雑で、外国人観光客が主に使う兌換ペソ(CUC。クックと呼ぶ)と、現地の方々が使う人民ペソ(CUP。ペソ・クバーノと呼ぶ)の2種類がある。通常はCUCだけあれば良いのだが、現地の人たち向けのお店にも行ってみたかったので、CUPも少し手に入れた。

  手に入れたお金を、さっそく使う。オビスポ通りのパン屋さんで、エクレアとオレンジジュースを購入。確か、2つで2.5CUC(250円)位だったと思う。エクレアの中が普通のクリームではなく、砂糖漬けのような甘々のクリームだった。私は大喜びだが、妻は甘すぎると顔をしかめていた。

  タクシーに乗って海底トンネルを通って運河を渡り、モロ要塞へ。スペイン領時代にハバナの防衛のために造られたこの要塞は、一時期イギリスに占領されたり、牢獄と使用されたりと様々な出来事を経て、現在は観光地としてだけでなく、灯台としての役目も務めている。「要塞」というだけあってかなり剛健な造りになっているし、所々に大砲が設置されている。そして、ここから眺めるハバナ旧市街の街並みは本当に素晴らしい。

モロ要塞全景(対岸の旧市街から撮影)。

  旧市街に戻り、キューバ産のチョコレートが楽しめる「ムセオ・デル・チョコラーテ」(Museo del Chocolate)で、チョコレートスムージーを飲む。チョコレートは、砂糖やコーヒー、葉巻と並ぶキューバの名産品だ。美味しいがかなり甘めで、1人で1杯飲み切るのは甘党の私でも少し辛かった。

  散策を続ける。旧市街の街は、古い建物が古いまま機能した状態で残っていて、遺跡的な美しさではなく、動的な美しさがある。歩いているだけでこれだけ心躍る街は、これまで訪れたことがない。

  大通りに出ると、また違った景色が広がっている。観光客向けのクラシックカータクシーが大人気で、道路上がカラフルだ。

旧国会議事堂。アメリカの国会議事堂をモデルとしているそうだ。

こんなバイクタクシーもある。

  繁華街のほうへ行ってみる。商店や飲食店が立ち並んでいて、現地の人々が買い物を楽しんでいる。また、公園にはたくさんの人だかりが出来ていた。キューバではインターネット環境の整備が進んでおらず、公園や大きなホテルなどの一部でのみWifiが使えるため、こういう光景を度々目にすることになる。まあ、今は「ポケモンGO」のおかげで日本でも同じような光景が見られるが。

  現地の人たち向けのレストランを見つけ、昼食をとることにする。英語もほとんど通じないので、隣のおじさんが食べていた料理を指差して注文。それに気づいたおじさんは、「これは美味しいよ」と笑顔とグーサイン。実際、出て来た料理(ステーキご飯)は、大味だが美味しかった。ただ、お会計をしようとしたら、店員のおばちゃん同士が結構な剣幕で口論をしていて、私たちはしばらく放置。それもまた大らかさがあって良い。

  繁華街から1本脇道にそれると、また少し雰囲気が変わる。このほんわかしたゴミゴミ感が心地よい。

  14時前に一旦ホテルへ戻って、夕方まで休憩。時差ボケの問題もあるが、1日で最も暑い時間帯を休憩に充てるというのは、結構理にかなっていると思う。

  休憩を終え、ホテルの前から馬車タクシーに乗り、新市街にある革命広場へ。馬の足音に耳を澄ませながら、ゆっくりと景色を眺める。結構な距離があって時間も掛かり、お馬さんにはだいぶ負荷を掛けてしまったかもしれない。ありがとう。

  革命広場はとにかく広くて何もない。メーデーなどで演説が行われ、数十万人が集まることもある場所で、周囲には共産党本部を始めとした国の中枢機関が揃っている。そして、内務省の壁にはチェ・ゲバラ、情報通信省の壁にはカミーロ・シエンフエゴスの肖像、そして反対側にはホセ・マルティ記念博物館と、独立戦争やキューバ革命の英雄たちに囲まれている。キューバというとこの場所のイメージが強く、私も事前に写真では何度も目にした景色であったが、実際に見ると迫力がすごかった。日曜日ということで静けさが漂っているものの、逆にそれが革命の息吹をひしひしと感じさせてくれた。

夕方からは、ライトアップもされる。

  バイクタクシーに乗り、旧市街へ戻る。途中で強い雨が降ってきて、そんな中をビュンビュンと走るので全身がずぶ濡れになったが、気分は爽快だった。

  ヘミングウェイがよく通っていたというバー「フロリディータ」(Floridita)で夕食。バーカウンターの隅には、ヘミングウェイの像が腰掛けている。注文は、名物のロブスター。大きなロブスターの下にたくさんのフルーツが敷き詰められていて、味は本当に絶品。肉厚のロブスターにほのかな塩味がついていて、普段は海老がそれほど好きではない私も、あっという間に平らげてしまうほど美味しかった。

  ホテルへ戻り、1階にあるバーでまったり。妻がビールを注文したら、店員さんが訝しげに「How old are you?」と聞いてきて、思わず2人で笑ってしまった。年齢を聞いた店員さんは驚いて謝ってくれたが、日本人はそんなに幼く見えるのか。

  部屋へ戻り、洗面所で洗濯をして、部屋に干してから就寝。洗濯機がなかった頃の洗濯の重労働っぷりに驚かされた。


9月3日(土)

2016年09月22日 13時00分29秒 | 2016年

  9時起床。今日から、7泊9日で、キューバへ新婚旅行に行く。新婚旅行の行き先を検討した際、当初はヨーロッパが第一候補だったのだが、ちょうどヨーロッパ各国でテロ等の事件が多発していた時期だったこともあって、ちょっと不安だねという話になった。そこで、オバマ大統領のキューバ訪問が話題となったことを思い出し、国交正常化が本格化してアメリカ資本が流入する前の古き良きキューバを観に行こうか、という私の冗談半分の提案が予想外に前向きに受け入れられ、この旅行が実現した。

  成田エクスプレスに乗って、成田空港へ移動し、17時30分発のエアカナダ002便トロント行きに搭乗。所要時間は約11時間。思っていたよりも座席は快適だし、CAさんの対応も悪くない。機内食も、それなりに美味しい。ただ、やっぱりエコノミークラスの座席でこれだけの時間を過ごすのはつらい。最後のほうは、妻と2人でオセロをやりながら時間を潰した。実力が拮抗していたので、結構楽しめた。

  トロントに到着し、乗り継ぎのためしばし休憩。休憩スペースにタブレット端末が設置されていて、ネットサーフィンやゲームはもちろん、喫茶店への注文も出来る仕組みになっている。これは良いシステムだ。

  トロント18時55分発のエアカナダ1752便に乗り、ハバナへ。所要時間は約3時間半。それなりの時間だが、先ほどの11時間に比べればあっという間に感じられる。

  ハバナに到着し、入国審査と税関を通って外へ出たのが23時前。ガイドの濱田さんが迎えに来てくださる。濱田さんは現在関西の大学の4年生で、1年間休学してインターンとしてパナマの旅行・不動産会社で働いている。普段はパナマの日本人駐在員さんを対象とした不動産の紹介や管理の仕事をしているとのこと。今回は、私たちのためにキューバへやってきて、ガイドや通訳をしてくださる。笑顔が印象的な爽やか好青年である。

  今日は時間も時間なので、ホテルへ直行する。今日と明日は、「テレグラフォ(Hotel Teregrafo)」というホテルに泊まる。最近リノベーションしたホテルということもあって、部屋は広いし綺麗だった。ベッドの上には、濱田さんが用意してくれたお花とお手紙が置かれていた。こういう心遣いは本当に嬉しい。

  海外で宿泊して毎回面白いのは、水回りである。キューバでは全体的にシャワーの出が悪く、頭や身体を洗うにも時間が掛かる。また、トイレがなぜか2種類あって、片方はどうやって使えばいいのか全くわからない。いや、そもそもそっちはトイレなのかどうかもわからない。

  ちなみに、キューバのホテルは多くが国営で、そのため従業員はみんな公務員だそうだ。しかし、日本のようなお役所仕事感はなく、フレンドリーでフレキシブルな対応をしてくれる。また、近年は民営化が進み(それが厳密な意味での「民営化」なのかには疑問もあるが)、民間の所も増えているが、レストランにも国営の所が多いらしい。そうだ、キューバは社会主義の国なのだ。私個人では、ベトナムに続く2カ国目である。そして、これは後々わかることだが、キューバの社会主義制度の現状は興味深いものであった。