恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

視線を感じる

2005年04月23日 | 恐懼とか
教育実習を一ヶ月前に控えたこの日は大学で授業論という特別授業を受講。
もっと内容を掘り下げた教育実践的な話を聞けるのかと思ったら、
なんか今までも幾度となく聞いてきたような話で・・・ではあったのですが、
やはり現役教師の話を聞くというのはそれなりに意義があるのかも。
それはある意味反面教師としての捉えどころも含めて。

で、学校は夕方に終わってしまったので、時間を持て余した私は、
友人と三人でぶらぶらと当てもなくふらつき始めました。
御茶ノ水から秋葉原で電波浴をしてそのまま上野公園まで歩きます。
秋葉原と上野の間は距離にして1キロ程度なのですが、
この僅かな距離の間に、往来を行く人の服装がめざましく変化するのは興味深いことです。
年齢層はそんなに変わらないのでしょうが、完全に異文化といえます。
まぁそんな人々を眺めつつ、何となく電車に乗って浅草へ。
浅草に行って何をするわけでもないんですが、雷門を見たり、仲見世を歩いたり。

んで、日も暮れてきたのでどこかで飲んでいこうということになったんです。
浅草に来たんだから神谷バーでデンキブランでも飲んでいきたいところなのですが、
金の無い学生はどこへ行ってもチェーン居酒屋が安定ということで和民へ。
土曜の夜とはいえ観光地のチェーン系の店はあまり人気がないのか、
午後七時過ぎというのに並ぶこともなくガラガラの店内でした。
居酒屋の店内が静まり返っているというのはなんとも異様ではありますが、
まぁ酒が入ってしまえばそんなことは気にもならなくなります。
開始から一時間ぐらいが経過し、いい具合に酔いが回って話に花が咲いていた頃、
おもむろに隣の席へ一人で来店してきた男性が着席しました。
この50歳台ぐらいの男性、見るからに怖い人オーラが出ているわけで、
サングラス、ピンクのポロシャツ、シマウマ柄のスラックスと、もう完全にそっち系な空気。
隣にそのオッサンが座った時には一瞬空気が凍りついたようにも思えましたが、
あまりそちらの方向は見ないように努め、我々は引続き馬鹿話に興じます。
酒が入っていることもあって、自然と声も高くなってしまう時があるのですが、
そういう時に限って隣のオッサンはチラチラとこちらのほうを見てくるんです。
あー、やっぱり若者が隣で騒いでるのは気に食わんのかなぁ、なんて勘繰っていると、
ついにそのオッサンが口を開きました。まさに戦々恐々。

オッサン「おぅ、お兄さんたちは会社帰りかい?」
私「いえ、学校帰りでちょっと一杯飲みに来たんですけど…。ご迷惑でしたか?」
あー、やっぱり一人で静かに飲みたいのに迷惑だったかなぁとガクブル。
オ「おぅ、学生さんか。若いってのはいいねぇ。若いんだからどんどん飲めよ」
と、自分のテーブルにあった鏡月のボトルを我々に勧めてくるんです。
さすが人情の町・浅草、こういうこともあるもんだなぁと思って一安心。
お言葉に甘えて我々はオッサンの焼酎をガンガン飲まされるのですが、
そんな和やかな空気もオッサンの思いもよらないカミングアウトであっさり崩壊。
「いやぁ、オジサンはね、男の人が好きなんだよ~」に我々一同( ゜д゜)ポカーン
その言葉を皮切りにオッサンの若かりし頃の武勇伝をつらつらと語りだし、
挙句の果てには周りの客席にいる男性とか店員の男性まで品定めする始末。
そして、我々にも熱い視線を送り、「ん~いい男だよねぇ」を連呼。
さすがに私も手を握られそうになった時は身の危険というものを真剣に考えました。
さっき騒いでて視線を送ってきたのは、うぜぇ、という心情ではなく、
恋する乙女の視線だったのだ、ということに気がつき、さらにガクブル。

男が男に「ほら、どんどん飲んでくれよ、いい男!」なんて言われても、
ちっとも嬉しくありません。むしろ怖いですよ。
さすがにこのままじゃ拉致されるんじゃないかというところで、
友人の一人が偽装電話でその場から離脱することを画策し、
見事にその作戦が功を奏してオッサンの餌食になることは免れました。
ホント、帰り際に我々一人一人と両手で握手していったぐらいで済んでよかった。
男が男に魅力を感じるのは悪いことじゃないですが、
さすがにそういう恋愛対象とか、そんな風には今の時点じゃ考えられませんよ。
「恋愛にはいろいろな形があっていいはずだ」っていう台詞は私にはまだ未知の世界。
しかし浅草っていうのは本当にすごい街ですな。

恐懼謹言。
コメント (2)
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