恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

酔っ払いと落し物

2005年07月27日 | 日記とか
あんな中途半端な台風であっても一過だけは立派なもんで、
東京の気温は37℃近くまで上昇したそうな。
新宿の駅からバイト先までわずかな距離を歩くだけでも、
太陽が突き刺さるように肌へ攻撃を仕掛けてくるわけで、
もしこんな天気の中で1時間も外にいれば日焼けサロンいらずですよ。
バイト先が空調のきいた店内でよかったよかった。
そんな今日のバイト先では暑さにやられて店内に逃げ込んでくる、
というような客もそこまで多くなく、いたって普通の一日でした。

そんな感じで10時半に勤務を終えて新宿からいつもの地下鉄へ乗り込みます。
新宿というターミナル駅なので、一応は乗客の入れ替わりがあり、
この時間の座れる確立はだいたい50%ぐらいなのですが、
今日は運悪く途中の九段下まで立ちでしたが、
この駅の乗客入れ替わりで着席に成功。
この時に私の右隣に座っていたのが、年齢30歳ぐらいのYシャツ姿の男性。
顔が相当赤らんでおり、今日の日差しで日焼けをしてしまったのではなく、
それは明らかに酒のせいで酔っ払っている風でありました。
やはりこういう時に注意しておきたいのは、隣がついつい居眠りしてしまい、
その頭がガツンガツン私にぶつかってくるんじゃないかということですが、
幸いにして今日の隣人がうつむく方向は左右ではなく前後で、
前にうつらうつらとなって、時々ガバっと体勢を立て直す程度でした。
まぁ自分に被害がないからいいや、と思って私は読書に興じていました。

そうこうするうちに電車はまたしても乗降の激しい馬喰横山駅へ。
隣の酔っぱらいは降りることなく、私の隣のポジションをキープしつつ、
寝息を立てていたわけなのですが、周りの乗客が入れ替わっていく際、
車内に硬貨が落ちるような金属音が鳴り響きました。
おそらく新たに乗り込んできた乗客の一人が落としたのでしょうが、
人間というのはなんともお金の落ちる音には敏感でありまして、
隣で寝ていた酔っ払いもその音によって眠りから覚めました。
私は「今の音は100円玉か?」と思って右横の音の発生源に目をやると、
落ちていたのはどこぞのゲームセンターのものと思しきメダル。
メダルとはいえ落とした人はさすがに拾うだろうと思ったのですが、
どういうわけか、乗客の誰もそれを拾おうとはしません。

そのメダルが放置されること十数秒、これに食いついたのが隣の酔っぱらい。
ちょうど彼の足元にメダルが落ちていたということもあって、
よっこらせ、とばかりにそのメダルを拾い上げます。
そしてその次に出た行動が、酔っ払いの目の前に立つ男性に対し、
「これ、落し物ですよ」と。酔っぱらってても理性はあるのだな、
などと私はその様子を見ていて感心したりもしましたが、
酔っ払いの目の前に立つ男性も、もし自分が落としたものならすぐ拾うわけで、
そうは言われても当然「いや、私じゃありませんよ」と回答。
酔「いやいや、そんなわけない。俺はあなたが落とすのを見たんだからw」
男「え、だから違うんですって。僕のじゃないですよ」
酔「いーや、絶対にそうだって。ほら」
と半ば強引に拾い上げたメダルを目の前に立つ男性に渡そうとする酔っ払い。
男性は「だから違うんだけどなぁ」と困った笑みを浮かべつつ、
これ以上問題を面倒にしたくないという理性からか渋々メダルを受け取り、
受け取ったメダルを困った顔でしげしげと眺めておりました。

その後は酔っ払いは再び眠りの世界に旅立ってしまい、
メダルでどうのこうのということはありませんでしたが、
メダルを強制的に持たされた男性はいい迷惑ですね。
メダルなんて持ってたってしょうがないし、不燃ゴミになるのが関の山。
いい歳こいて周りからゲーセンのメダルかよ、と思われるのも嫌だろうし。
今日の酔っ払いの行為は善行に見えて単なるありがた迷惑ですな。
ターゲットにされるのが私じゃなくてよかったよかった。

恐懼謹言。
コメント
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