太宰治生誕百周年記念企画「津軽」の旅・完全版。
最終回は小泊の「津軽」の像記念館です。
竜飛を後にし、国道339号線へ。そして、竜泊ラインで小泊へ・・・。
それが理想のコースなのだが、竜泊ラインは11月17日をもって冬季閉鎖!!
だもんで、また来た道を後戻り、ぐるりと北津軽を一周。
思いっきり遠回りしてようやく小泊へ。
この日の日本海は静かでした。真冬に訪れたらそりゃもう地獄の様な荒海なのだが、穏やかなもんでした。
途中、何の種類の樹木か知らんが、枯葉が落ちないで枝にしがみついた木が密集しており、それが小泊の禿山に覆っていたのは見事だった。決して美しいとはいえないが、風情があった。あれは何の木だろうか?
国道339号線を小泊の中心街へ。
これといって観光地もない小さい村であるが、「津軽」の像記念館への案内板が至る所にあり、迷う事も無く到着できた。ま、来るの三回目だし。
「再会公園」と名付けられている丘の上に再会の像がある。
「津軽」本編で、太宰は遂にたけと感動の再会を果たす。
風土記なのに、この劇的なクライマックスが待ち受けているのは作者の運命なのだろうし、それを作品にするのが作家の運命だったのであろうか。
太宰治が、たけに会いに小泊を訪れ、催し中の運動会を2人で黙って眺める様子が像になっている。
その像が建立されたのは平成元年で、周りは公園として整備されたが、観光客が多く訪れれる為、その後記念館が建設された。
記念館の外には幼少の頃と青年の頃の太宰治のバストアップの銅像と若き日のたけの銅像がある。
そして初めて中へ入る。
ま、入館者は他に誰もおりませんが。
まず、太宰について記した色紙や絵画など。
そして太宰が「津軽」で辿った足跡を知るコーナー。
その他、太宰とたけの年譜や写真などあり。
一番奥にはビデオ試写室。15分程度のたけの映像が流れるらしい。
実は閉館時間ギリギリに入ったので、15分も見たら閉館時間過ぎて迷惑かけそうだったから観なかった。
さらに太宰治の声をコンピューターで再現出来るみたいなコーナーもある。
なんか気持ち悪い声で、友人はガッカリどころか、耳塞いでしまった(子どもかっ!)
全体的に資料はかなり少ないですが、太宰を愛して「津軽」を愛してここまで辿り着いた人たちは熱狂的な太宰ファンだろうから、入っておいて損はないでしょう。
銅像の2人の視線の先は、運動会が行われた校庭を見ている。今もそこは小学校の校庭である。
その後ろ側には日本海が見える。
そんなわけで今回の「津軽」の旅は完結。
前回巡れなかった施設に訪れて大満足でした。
しかも天候がなんとか持ってくれて、斜陽館からずっと雨は降らず、「津軽」の像記念館を後にしたら大雨が降ってきたという、日頃の行いの良さが天候を変えてしまいましたとさ。
ちなみに、太宰は小泊にて本書をエンディングの地にしているが、その後弘前にも立ち寄っている筈である。
弘前での出来事が何も書かれないのは地元民としては寂しいが、あの感動の再会を締め括りとしているのは最もな事であるので、それは仕方ない事だと納得している。
私は太宰治の愛読者とは程遠い存在であるが、「津軽」の熱狂的愛読者と自負している。
「津軽」は何回読んだことか。
年を重ねるに連れ、改めて故郷の有り難さを深く重んじ、そして誇りに思うようになった。
それは色んな要因があるが、何より大きいのは太宰治が「津軽」に生まれ、「津軽」を愛し、「津軽」を書いたからである。
この半島には多くの歴史があって、そしてこれからも続いていく。
この大いなる田舎をこれからも愛して生き続けていくことであろう。
最後の最後に「津軽」より、たけと感動の再会を果たした後のクライマックスの文章を載せて終わりとします。
~私はたけの、そのように強くて不遠慮な愛情のあらわし方に接して、ああ、私は、たけに似ているのだと思った。きょうだい中で、私ひとり、粗野で、がらっぱちのところがあるのは、この悲しい育ての親の影響だったという事に気附いた。私は、この時はじめて、私の育ちの本質をはっきり知らされた。私は断じて、上品な育ちの男ではない。どうりで、金持ちの子供らしくないところがあった。見よ、私の忘れ得ぬ人は、青森に於けるT君であり、五所川原に於ける中畑さんであり、金木に於けるアヤであり、そうして小泊に於けるたけである。アヤは現在も私の家に仕へているが、他の人たちも、そのむかし一度は、私の家にいた事がある人だ。私は、これらの人と友である。
さて、古聖人の獲麟を気取るわけでもないけれど、聖戦下の新津軽風土記も、作者のこの獲友の告白を以て、ひとまずペンをとどめて大過ないかと思われる。まだまだ書きたい事が、あれこれとあったのだが、津軽の生きている雰囲気は、以上でだいたい語り尽したようにも思われる。私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。
終わり。
入館料・200円
開館時間・9:00~4:00(4月~10月は9:00~4:30)
休館日・毎週月・火曜日(10月~3月)、12月28日~1月4日
住所・中泊町大字小泊字砂山1080-1
電話・0173-64-3588
最終回は小泊の「津軽」の像記念館です。
竜飛を後にし、国道339号線へ。そして、竜泊ラインで小泊へ・・・。
それが理想のコースなのだが、竜泊ラインは11月17日をもって冬季閉鎖!!
だもんで、また来た道を後戻り、ぐるりと北津軽を一周。
思いっきり遠回りしてようやく小泊へ。
この日の日本海は静かでした。真冬に訪れたらそりゃもう地獄の様な荒海なのだが、穏やかなもんでした。
途中、何の種類の樹木か知らんが、枯葉が落ちないで枝にしがみついた木が密集しており、それが小泊の禿山に覆っていたのは見事だった。決して美しいとはいえないが、風情があった。あれは何の木だろうか?
国道339号線を小泊の中心街へ。
これといって観光地もない小さい村であるが、「津軽」の像記念館への案内板が至る所にあり、迷う事も無く到着できた。ま、来るの三回目だし。
「再会公園」と名付けられている丘の上に再会の像がある。
「津軽」本編で、太宰は遂にたけと感動の再会を果たす。
風土記なのに、この劇的なクライマックスが待ち受けているのは作者の運命なのだろうし、それを作品にするのが作家の運命だったのであろうか。
太宰治が、たけに会いに小泊を訪れ、催し中の運動会を2人で黙って眺める様子が像になっている。
その像が建立されたのは平成元年で、周りは公園として整備されたが、観光客が多く訪れれる為、その後記念館が建設された。
記念館の外には幼少の頃と青年の頃の太宰治のバストアップの銅像と若き日のたけの銅像がある。
そして初めて中へ入る。
ま、入館者は他に誰もおりませんが。
まず、太宰について記した色紙や絵画など。
そして太宰が「津軽」で辿った足跡を知るコーナー。
その他、太宰とたけの年譜や写真などあり。
一番奥にはビデオ試写室。15分程度のたけの映像が流れるらしい。
実は閉館時間ギリギリに入ったので、15分も見たら閉館時間過ぎて迷惑かけそうだったから観なかった。
さらに太宰治の声をコンピューターで再現出来るみたいなコーナーもある。
なんか気持ち悪い声で、友人はガッカリどころか、耳塞いでしまった(子どもかっ!)
全体的に資料はかなり少ないですが、太宰を愛して「津軽」を愛してここまで辿り着いた人たちは熱狂的な太宰ファンだろうから、入っておいて損はないでしょう。
銅像の2人の視線の先は、運動会が行われた校庭を見ている。今もそこは小学校の校庭である。
その後ろ側には日本海が見える。
そんなわけで今回の「津軽」の旅は完結。
前回巡れなかった施設に訪れて大満足でした。
しかも天候がなんとか持ってくれて、斜陽館からずっと雨は降らず、「津軽」の像記念館を後にしたら大雨が降ってきたという、日頃の行いの良さが天候を変えてしまいましたとさ。
ちなみに、太宰は小泊にて本書をエンディングの地にしているが、その後弘前にも立ち寄っている筈である。
弘前での出来事が何も書かれないのは地元民としては寂しいが、あの感動の再会を締め括りとしているのは最もな事であるので、それは仕方ない事だと納得している。
私は太宰治の愛読者とは程遠い存在であるが、「津軽」の熱狂的愛読者と自負している。
「津軽」は何回読んだことか。
年を重ねるに連れ、改めて故郷の有り難さを深く重んじ、そして誇りに思うようになった。
それは色んな要因があるが、何より大きいのは太宰治が「津軽」に生まれ、「津軽」を愛し、「津軽」を書いたからである。
この半島には多くの歴史があって、そしてこれからも続いていく。
この大いなる田舎をこれからも愛して生き続けていくことであろう。
最後の最後に「津軽」より、たけと感動の再会を果たした後のクライマックスの文章を載せて終わりとします。
~私はたけの、そのように強くて不遠慮な愛情のあらわし方に接して、ああ、私は、たけに似ているのだと思った。きょうだい中で、私ひとり、粗野で、がらっぱちのところがあるのは、この悲しい育ての親の影響だったという事に気附いた。私は、この時はじめて、私の育ちの本質をはっきり知らされた。私は断じて、上品な育ちの男ではない。どうりで、金持ちの子供らしくないところがあった。見よ、私の忘れ得ぬ人は、青森に於けるT君であり、五所川原に於ける中畑さんであり、金木に於けるアヤであり、そうして小泊に於けるたけである。アヤは現在も私の家に仕へているが、他の人たちも、そのむかし一度は、私の家にいた事がある人だ。私は、これらの人と友である。
さて、古聖人の獲麟を気取るわけでもないけれど、聖戦下の新津軽風土記も、作者のこの獲友の告白を以て、ひとまずペンをとどめて大過ないかと思われる。まだまだ書きたい事が、あれこれとあったのだが、津軽の生きている雰囲気は、以上でだいたい語り尽したようにも思われる。私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。
終わり。
入館料・200円
開館時間・9:00~4:00(4月~10月は9:00~4:30)
休館日・毎週月・火曜日(10月~3月)、12月28日~1月4日
住所・中泊町大字小泊字砂山1080-1
電話・0173-64-3588