Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

今日の思い出を振り返ってみる

2020-05-19 10:53:28 | 日記

親交 57

 「作り手の手を見て分かったのよ。」彼女は夢の中にいるような瞳になると言葉を続けました。「それはもう、それはもう、色々な花の色に染まって黒ずんだ見苦しく汚れた酷く痛んだ手だ......

 今日のお天気は曇り空から晴れに。また夜から雨になる予報ですが、今は青空が見えています。1年前のブログは1日に3作品アップしたようです。その記事の内、最後の物だけアップしておきます。

 さて、のんびりと家に居ますが、今朝のテレビでみると、ニューヨークの方では在宅者に感染者が増えているとか。公共交通機関利用者や、仕事で外出している人は少ないそうです。心配な話です。在宅者に家に居るから安心だという気の緩みが有るという事なんでしょうね。買い物時など気を付けたいです。郵便や宅配など家に来るものにもを付けているのですが、やはりウイルスはいつの間にかどこから入って来るのでしょうね。
 ペットなどもペット同士で感染するというし、ペットは家から出さないようにした方が良いそうです。そうなると、野生の動物も不安材料なんでしょうね。

マルのじれんま 30

2020-05-17 08:51:30 | 日記
 ざっーと、2人の頭上の木立が騒ぎました。空にも雲が延びて来たので地表に届く日差しは薄日になって来ました。辺りの景色が鮮明さを失い、風も生暖かい空気の流れに変わりました。釣り竿を前に、2人はそれぞれに、お互いがお互いに、思い思いの違う事を考えていました。

 マルは自身の釣りの意味についてどうまとめるかを考えていました。一方紫苑さんの方は、今は亡き彼の妻との出会いの場面や、彼女と自分との過去の思い出の記憶をあれこれと鮮明に彼の胸に甦らせていました。

 「釣りは私と魚の戯れです。私にとっての戯れ。魚にとっても私との戯れです。」

私は魚と遊んでいるんです。そして私もまた魚に遊んでもらっているのです。

「ほう。」

横で紫苑さんが呟きました。この時、妻との過去の回想に浸る紫苑さんにとっては、殆どマルの話は上の空なのですが、一応釣りに来た連れの話に耳は傾けていました。

 「私はうまく魚を出し抜いて釣り上げ、彼とコンタクトを取ろとしているし。」 

なるほど、と紫苑さん。

「魚は私に騙されまいとして鳴りを潜め、用心している。」

…。

「私に殺意や邪気が無いと知れば、彼は安心して私と遊ぶ為姿を現し、様子を見て釣り上げられてくれるんです。」

…。そんな事がね。と、俯いて考え込む紫苑さん。

「まだこの先が有るんですよ。」

 釣り上げた魚と私との、これからが遊びの神髄です。水中と地上で今まで住む世界の分れていた2人が、この時初めて直に触れ合ってコンタクトを取る事が出来るようになったんです。私は水に沈めたびくの中に彼を泳がせ、そんな命ある彼を自身の手で直に触る事が出来るようになったんです。この世で自分とは違う生物としての彼、魚という彼の存在を直に確かめる事が出来るんです、お互いにね。異生物との遭遇、出会いの喜び、コンタクトして、コミュニケーションできる楽しさ。

「ねぇ、素晴らしいでしょう。」

こんなに素敵で楽しい魚との戯れが有りますか?。マルは何とか自身の釣りについて上手くまとめる事が出来たと感じ、にこりと笑うと、満足気に紫苑さんの方向を見詰めました。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-05-17 08:42:59 | 日記

親交 54

 幼い日のある日、彼女は山の中腹にある高台から景色を眺めていました。すると彼女は眼下の野原で動いている2つの影を発見しました。何だろうとよく見ると、それは地球でいうなら兎に当たるよ......

 今日は曇り空。雨は降らない様子です。白いアイリスの後は黄色と紫のアイリスが咲いています。バラも咲き出して、花の季節です。もう暫くしたら梅雨の季節がやって来るのでしょう。
 今年はコロナに気を取られ、あっという間の季節の移り変わりを感じます。

マルのじれんま 29

2020-05-16 16:01:02 | 日記
 「遊び?。」

「魚釣りは遊びなんですか?、これはまた何とあなたは剛毅な人ですね。」

ツンと、一瞬紫苑さんの目の先が尖りました。何しろ彼にとって釣りの目的はほぼ食べる為であり、食料を得るための漁である事を今マルに仄めかしたばかりです。

 確かに、釣りをはじめた当初、遥かに昔の幼い彼にとっては、釣りはまだ遊びの要素が多分に有りました。しかし周囲の大人の話や生活環境で成長するに連れ、彼の釣りはいつしか食料の調達手段の一部になっていったのでした。長じては海釣りなども愉しんだ紫苑さんでした。彼は漁船に乗せてもらった事もあり、釣り立ての魚で漁師料理も味わった事が有るのでした。

 それも今は昔、現役で働いていた頃だ、あれは楽しかったなぁ。家に持ち帰った土産の漁獲にはしゃいでいた妻の顔が浮かびます。生きのよい魚で刺身が出来ると大喜びだった。甲斐性のある亭主とは結婚するものだと言っていた彼女の笑顔が浮かびます。当時を思い出した紫苑さんは輝く笑顔になり、そしてもうその妻の亡い事を思い出すとシュンとして肩を落としてしまいました。

 『何だか…、円萬さんという人は、悠長過ぎる人だな。』

彼は内心呟きました。円満さんと知り合ってからこの方、浮世離れした彼の悠長さが気に入っていた紫苑さんでした。この世知辛い世の中にこんな人もいるのだなと、自身の浮世の憂さを忘れさせてくれるような彼の豪放な人柄が紫苑さんには頼もしく、また好ましく思えていました。また、彼は今年紫苑さんが地域の図書館で知り合った若者、気が良く自分に親切にしてくれた鷹雄という名前の、地域の大学の院へと通う学生の下宿している先の寺の住職であり、鷹雄の親戚にあたるという人物でしたから、彼は円萬さんに勤めて好感を持って友好的に接してきたのでした。

 『お寺さんはお寺さんだなぁ。』

紫苑さんはふと思いました。何だか浮世離れし過ぎていて私には話が合わないようだ。ここに置いてマルに続いて紫苑さんも顔を曇らせ始めました。紫苑さんと円萬ことマル、2人の間にひんやりとした空気が漂い始めたのはこの場が大木の陰、緑陰の元になっているというばかりではないようです。

 そんな紫苑さんの変化に、傍にいるマルも気付いていました。只、宇宙船で同僚のミル、地球上では大学院生の鷹雄の事です、から、彼が休暇で故郷の星への帰省中、この地球人男性の紫苑さんについて頼まれていたマルです。やは一度引き受けたからにはと責任を感じてきました。しかし、私では駄目なようだとマルは思いました。

『もうミルも帰艦している事だし、この場は何とか収めて、後は彼に引き継いでもらおう。』

それがいいとマルはそう考えると、何とかこの場を収束させて空へ帰ろうと決意しました。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-05-16 14:41:41 | 日記

親交 53

 それはずーっと以前の事だ、と、彼女は話し始めました。彼女と彼女の夫はやはりこの裏山で出会ったのだという事でした。幼い2人は別々に、共に彼等の両親とこの山へ遊びに来ていたのでした。......

 雨の土曜日です。植物には恵みの雨。緑増す雨ですね。地域の大麦の穂が黄金色に実っています。