冬の虫冬の草と季語についてつぶやいてきて「冬の水」に関する例句を思い出しました。ある俳人の俳句入門書に「いい俳句とは」とあり、① 単一化のよさ ② 簡素のうつくしさ ③ 象徴のふかさ ④ リズム などをあげています。
そして、「冬の水」を詠んだ7句を例にその判断の内容を示しているのです。
⒈ 冬の水木影うつして偽らず
⒉ ありのまま木影をうつす冬の水
⒊ 木々の影こまごまとある冬の水
⒋ 冬の水平らかに木影うつりをり
⒌ 木々の枝うつりて冬の水しづか
⒍ 冬の水枝影うつしなほ澄めり
⒎ 冬の水一枝の影も欺かず
この中から「よいと思う俳句を一句選び、その理由を書け」というようなことですが、それについての俳人の解説は明日にして、少し検討してみて下さい。
参考に季語「冬の水」についての歳時記での「本意」を記しておきます。平井照敏著『新歳時記 冬』(河出文庫)からです。
《 つめたい水だが、ふかぶかとしたかげをもっているようである。それでうつる影などは精密な感じであり、きびしい美しい硬質の水という印象である。》