これは岩波文庫の『初代川柳選句集 上』でアマゾンの該当部分です。岩波文庫に「川柳集成」として8冊ワンセットのうちの一冊です。このところ川柳についての「つぶやき」が多くなっているのですが、このセットを買い込んだのはかなり以前でした。やはりブログの繋がりで俳句を詠んでいた人が「川柳について知りたい」と書き込んでいたので「 私も知りたい」と思ったのでした。
そういう時は不思議と関連した本が目の前に現れるのです。こういうあまり売れない棚のスペースを取る物を大型書店か専門でもない店が置く機会は極小でしょう。たまたま入った普通の本屋の棚で見つけ、これも偶々資金が懐にあったために入手した訳です。
ところがその人のブログが休みに入ってしまい、私の関心も他に向いてしまい、川柳セットは我が家の本棚にしまわれたままで今日まで。それで今日手にして開いて見たらでこんな句が目に入りました、
村中を酔ハせて真田ずつとぬけ
大河ドラマ「真田丸」が真田信繁の九度山脱出をどう描くか、この句の「村中を酔わせて」抜け出す光景を見せてくれるのか興味あるところです。
この句が載っている「さくらの実」は明和四年とあります。信繁が九度山を出大坂城には入ったのが慶長十九年(1614)、明和四年は1767年で153年後でした。この頃は信繁でなく真田幸村と呼ばれていたでしょう。
平山さんの『真田信繁』にこうあります。
【 江戸時代前期になると、天下簒奪の野望に燃え、若き豊臣秀頼を滅ぼそうと牙を研ぐ徳川家康とねばり強く戦い、家康を追い詰める真田幸村として復活する。
真田幸村は、信繁をモデルとする新たなキャラクターである。それは公然と幕府批判ができない江戸時代の民衆にとって、徳川を追い詰めるヒーローとして迎え入れられた。】
今から250年ほど前のこの川柳から、徳川幕府の下での一庶民の気持が伝わって来ます。それにしても今から150年ほどの前の出来事を、例えば明治維新前後の諸事件を詠みこんだ川柳があるのだろうか。川柳の有している可能性はかなり深く大きいと考えられます。