アムステルダムのゴッホ美術館で「REMBRANDT/CARAVAGGIO展」を観てきた。
http://www.rembrandt-caravaggio.nl/index_en.htm#loca
レンブラントの光と影がCARAVAGGIOからの直接の影響とは言えなくとも、ユトレヒト派カラヴァッジェスキからの影響は否定できないものがあろう。今回の展覧会でも、まずはレンブラントに先行するユトレヒト派とCARAVAGGIO作品が展示されていた。
・ヘンドリック・テル・ブリュッヘン「聖トマスの懐疑」(国立ミュージアム・アムステルダム)
・ヘリット・ファン・ホントホルスト「キリストへの嘲笑」(国立ミュージアム・アムステルダム)
・ CARAVAGGIO「聖アンデレの磔刑」(クリーヴランド美術館・クリーヴランド)
http://www.wga.hu/html/c/caravagg/09/54andrew.html
・ ディレク・ファン・バビューレン「ウルカヌスによって鎖に繋がれるプロメテウス」(国立ミュージアム・アムステルダム)
勉強を怠っていた花耀亭はユトレヒトに行って初めてオランダにおけるユトレヒトの特殊事情に気がついた。プロテスタント国オランダの中でユトレヒトはカトリックが多い土地柄で、ユトレヒトにおいてはカトリック的宗教画の需要がまだあったのかもしれない。ユトレヒトの画家たちがローマ教皇のお膝元ローマに修行に出かけ、そこで観たCARAVAGGIO作品から多くの影響を得て帰国したことも、なんだかすんなりわかるような気がする。
ちなみに、歴史を100年ほど遡れば、ローマ教皇ハドリアヌス6世(在位1522-23年)がユトレヒト出身で(歴史的にもかなり異色)、なんとスペインでカール5世の家庭教師をしていたというから驚く。そうそう、ゲントに行ったのも映画「女王ファナ」でカール5世が生まれた所だという記憶があったからでもあり(もちろんお目当てはファン・アイクの祭壇画)、お隣ブルージュ救世主大聖堂地下にはカール5世少年時の肖像画があった♪
話を戻すが、ユトレヒト派の扱う主題も構図にもCARAVAGGIOの影響を色濃く観る事ができる。画像はテル・ブリュッヘンの「聖トマスの懐疑」だが、キリストのわき腹の傷に指を差し込むところなど、サンスーシ絵画館所蔵のCARAVAGGIO「聖トマスの懐疑」にっそっくり!
http://www.wga.hu/html/c/caravagg/06/34thomas.html
ホントホルストの場合は、CARAVAGGIOが光源をあまり直接描かないのに較べ、蝋燭だったり松明だったりその光源を効果的に画面の中に持ち込み、逆光を使ったりと、後のレンブラントへの影響を強く見てしまう。
バビューレンはローマからの帰国後テル・ブリュッヘンと共同で工房を持つ。今回の展示作品「プロメテウス…」↓は
http://www.wga.hu/html/b/baburen/promethe.html
「聖アンデレの磔刑」もだが、私的には聖ポポロ教会チェラージ礼拝堂の「聖ペトロの磔刑」の影響の方が強いと思う。
http://www.wga.hu/html/c/caravagg/05/28ceras.html
CARAVAGGIOの光と闇の明暗による実在感と劇的効果はユトレヒトの画家たちにとっては多分ショックだったにちがいない。その衝撃の跡をユトレヒトだけでなくデーフェンテールでも堪能してしまった。
※追記:一部誤記があった為削除済(汗)