2010年秋、ボローニャでFさんにフォンダッツァ通りの「カーサ・モランディ美術館」に連れて行って頂いた。
「カーサ・モランディ美術館」入口ドア (モランディの住んでいたアパルタメント。中は撮影禁止なのが残念!)
アトリエの残るカーサ・モランディ(モランディの家)では、作品に登場する花瓶や壺や水差しなどが目の前に無造作に並んでいる。まるで舞台から降りた俳優たちが素の姿を晒しているのを見ているような気がしてしまった。その中には演出者(モランディ)にわざと白塗りされた顔をそのまま残すものも居て、舞台ではかなりこき使われたのだろうなぁ、と老俳優たちに同情までしそうだった。いや、モランディ演出の舞台だったからこそ、彼らは今もなお燦然と輝ける伝説の俳優として、その姿を作品の中に残しているのだと思う。
今日から始まる東京ステーションギャラリーの「ジョルジョ・モランディ展」でもその雄姿を観ることができる。
カーサ・モランディには俳優たちとは別に、モランディ自身が集めたコレクションが並ぶ一室がある。素朴で静謐な小さな壺や皿は、画家の趣味が偲ばれるものであった。手に取り、眺めながら、きっと心が慰さめられていたのだろう。なかでも、エトルリアの小さな壺の好ましさは私の記憶に強く残り、エトルリア文化に対する興味を繋いでくれた。