花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

東京都美術館「バベルの塔」展の感想(3)

2017-04-23 23:53:04 | 展覧会

今回、私的に特に目を見張ったのはヤン・ファン・スコーレル《学生の肖像》だった。図録によれば「弟子のマールテン・ファン・ヘームスケルクが描いたのかもしれない」とある。 

ヤン・ファン・スコーレル《学生の肖像》(1531年)ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館

この色彩と光のバルールを見よ!!この作品は明確にヘンドリック・テル・ブリュッヘンを予告しているように思われる。更に言えば、帽子の赤、衣服の黒…光への感性がカラヴァッジョと共通している。そしてペンと紙を持つ手の描写はラ・トゥールをも髣髴させるのだ。(美術ド素人の暴走をお許しあれ(^^;)

スコーレルはヤン・ホッサールトに学んでいるし、ドイツでデューラーの影響を、ヴェネツィアではジョルジョーネの影響を受ける。1521年、ローマではユトレヒト出身の教皇ハドリアヌス6世に招聘され、ミケランジェロやラファエッロからの影響も受けたようだ。ちなみに、ヘームスケルクはユトレヒトでスコーレルに学んでいる。 

要するに、スコーレルもヘームスケルクもユトレヒト派カラヴァッジェスキの前の世代にあたるのだ。もしかして、美術ド素人の妄想ではあるが、テル・ブリュッヘンがこの作品を観ている可能性はあるかもしれない (^^;; 

※自分用覚え書き

Jan Gossaert(1478頃 - 1532年)

Jan van Scorel (1495 -1562年) 

Maerten van Heemskerck(1498 - 1574年)

Abraham Bloemaert(1566 - 1651年)

Hendrick Jansz ter Brugghen(1588 - 1629年)