東京都美術館「バベルの塔」展を観た。今回の展覧会は、ピーテル・ブリューゲル《バベルの塔》を広告塔としながらも、どちらかと言えば、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館所蔵の15-16世紀ネーデルラント美術の紹介であり、副題の「16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて」がキモである。故にボス作品が断然存在感を放ち、ボスの奇想を模した画家でもあったブリューゲルへと収束する流れが基底に見える。
思うに、ボスもブリューゲルもロマニストに染まらぬ故に、個性の発露の勝利と言うべきなのだろうなぁ。
ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館を望む
さて、展覧会構成は… (カッコ内は独り言(^^ゞ)
Ⅰ)16世紀ネーデルラントの彫刻 (教会装飾用木彫彫刻が中心)
Ⅱ)信仰に仕えて (15世紀末-16世紀のキリスト教美術が中心)
Ⅲ)ホラント地方の美術 (マンデル「北方画家列伝」を想起(^^;)
Ⅳ)新たな画題へ (フランドル絵画の巨匠たち登場♪)
Ⅴ)奇想の画家ヒエロニムス・ボス (真打登場!!)
Ⅵ)ボスのように描く (ボスの奇想には及ばないのだけど(^^;)
Ⅶ)ブリューゲルの版画 (Bunkamuraでも観たよね)
Ⅷ)「バベルの塔」へ (愛する神は細部に宿り給う)
私的にとても好感が持てたのは、オープニングが彫刻作品から始まり、当時の教会装飾としての木彫彫刻の重要性を再認識させてくれたところだ。今回の展示作品はマニアックなドイツ彫刻よりも素朴さが感じられるところが良い。もちろん、ネーデルラントにも超絶技巧作品はあるだろうし、そちらもぜひ観たいと思わせてくれた。
美術館入口
日本で北方美術作品がまとまって展示される機会は少ない。今回の展覧会はネーデルラント絵画の2大巨匠ボスとブリューゲルの傑作を中心に、眼も大いに喜んだし、フランドルとホラントの美術傾向も知ることができたし、色々と勉強できる展覧会となった。それに、久々にロッテルダムを思い出すことができたしね。
ということで、続く... (「大エルミタージュ展」の感想の続きも忘れてはいないのだけど(^^ゞ)