森アーツセンターギャラリー「大エルミタージュ美術館展」を観た。
この展覧会、もちろん見応えある作品も見どころも一応あるのだが、私的にどうも作品構成が成功しているとは思えなかった。国別のルネサンス・バロック・ロコロの展開を追うには、借り出した(できた)作品の偏りと少なさがどうしても目に付く。ドイツなど今回目玉のクラーナハ作品しかないのだから(・・;)
展示構成は
1)イタリア:ルネサンスからバロックへ
2)オランダ:市民絵画の黄金期
3)フランドル:バロック的豊穣の時代
4)スペイン:神と聖人の世紀
5)フランス:古典主義的バロックからロココへ
6)ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で
見どころ作品としては、ティツィアーノ《羽飾りの帽子を被った若い女》、フランス・ハルス《手袋を持つ男》、レンブラント《運命を悟るハマン》、クラーナハ《林檎の木の下の聖母子》などの名品が目を堪能させてくれる。
でもね、国別は難しいと思うのだ。例えばオープニングはイタリアであるが、目玉作品がティツィアーノだからか、解説ではルネサンスはヴェネツィアやローマが中心のような書き方で、フィレンツェ・ルネサンス作品が無いので言及もされていない。
更に、私的に違和感を覚えたのは、ニコラ・トゥルニエ(?)《若いリュート弾き》がイタリアに入っていて、ニコラ・プッサンは別として、シモン・ヴーエやクロード・ロランがフランスに入っていたことで、イタリア贔屓としては「ん?」と思ってしまった(^^ゞ。特にロラン作品なんてロココの後に突然登場するのだから、風景画とは言え、この並べ方って無いだろう!と突っ込みたくなった(^^;
ちなみに、フセ・デ・リベーラがスペインに入っているのだって私的には不服なのだけれど、まぁ仕方ないとあきらめているんだけどね(笑)
私見では、国別で一番充実していたのがオランダ絵画で、ハルス作品(女帝エカテリーナお気に入り作品だったハズだ)の闊達な魅力、レンブラント作品の圧倒迫力、この強力な2作品がオランダ・バロックの黄金期を彩る。私的にはユトレヒト派ヘリット・ファン・ホントホルストの対作品《陽気なヴァイオリン弾き》《陽気なリュート弾き》に思わず裏の意味を探ってしまったのだが(^^;;、前者よりも後者作品の方が生き生きと魅力ある作品だと思う。
ということで、次回はその他の目が惹かれた作品について少しばかり言及したい。