大人の休日作戦で横浜美術館のライブラリーに行った。そこでの収穫は、謎がまた増えたことだった(^^;
以前、拙ブログ<山梨県美術館「バロックの巨匠たち」展を観た(2)>で、ヘンドリック・テル・ブリュッヘン《荊冠のキリスト》について「らしくない」と疑問を呈した。
テル・ブリュッヘン《荊冠のキリスト》(1614年頃)ヨハネ・パオロ2世美術館
上記画像は下記リンク先より。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Brugghen_Crowning_with_Thorns.JPG
さて、横浜のライブラリーでチェックした某雑誌に、ニューヨークとパリで開催された「Valentin de Boulogne」展のレヴューが載っていた。
参考:Valentin de Boulogne 展
http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2016/valentin-de-boulogne
http://www.louvre.fr/expositions/valentin-de-boulognereinventer-caravage
ヴァランタン・ド・ブーローニュ(Valentin de Boulogne,1591- 1632)はフランス人画家で、ローマでカラヴァッジョやカラヴァッジェスキの影響を強く受けている。
某雑誌レビューでは展覧会に出品された《荊冠のキリスト》(1613-14年)(元ルーヴル美術館所蔵・現在は個人蔵)が紹介されていた。
参考に下記の動画をご覧あれ。動画のすぐ冒頭に出てくるのがヴァランタン・ド・ブーローニュ《荊冠のキリスト》である。(動画の10分ぐらいのところにも出てくる)
https://www.youtube.com/watch?v=4kjU7YpmU6U
参考としてだが、その同ヴァージョンのレプリカと思われる作品↓もある。
レヴューによれば、ローマでのヴァランタン・ド・ブーローニュはフランス人グループよりも北方の画家たち(ドイツやネーデルラント)のグループに属していたらしい。テル・ブリュッヘン、バビューレン、ホントホルスト…ユトレヒト派からの影響は否めない。
さて、山梨県美術館で観た作品はテル・ブリュッヘン作品と表記されていたが、果たしてテル・ブリュッヘンがブローニュ作品を模写したということなのだろうか??オリジナルがテル・ブリュッヘンだということなのだろうか??? 美術ド素人の謎(疑問)がまた増えてしまったのだ(・・;)
追記:上記に挙げたサザビーズのサイトを良く読んだら(汗)、このオークション出品作がMETとルーヴルの展覧会に出展されたようだ。(某雑誌の表記は「Private collection; exh. Muse’e du Louvre, Paris」だったのだけど「exh.」の意味って「元」ではないの??)
で、やはり!!。山梨県美術館で観た作品は、元Edward Speelman所蔵であり、テル・ブリュッヘンによるコピー作品とされていたらしい、が、「この帰属をもはや維持することはできない」とのこと。ようやくスッキリしたわ!!(^^)v
「The obvious success and popularity of the composition is attested to by the fact that two copies are known: one was formerly with Edward Speelman, as by Terbrugghen, though this attribution can no longer be upheld; another was sold in Venice, at Semenzato, December 15, 1985, lot 115.
Please note that the loan of this painting has been requested for the monographic exhibition dedicated to Valentin de Boulogne to be held at the Metropolitan Museum of Art, New York beginning in October 2016, and continuing at the Musée du Louvre, Paris.」