2005年秋、ヴェネツィアからミラノへ向かう旅をした。もちろん、アカデミア(アッカデミア)美術館も訪れた。当時のブログにも書いたのだが、そこで思いがけない一点の絵と出会ってしまった。まさか、その絵がアカデミアにあるとは…なんてラッキーなのだ!と当時の私は思った。
(アカデミア美術館で...)
そして最近、『宮下孝晴の徹底イタリア美術案内(1)北イタリア』(美術出版社)を読んだ。
「カステルフランコには、たった一点のジョルジョーネがあるだけです。それだけで世界有数の美術館を誇る町に匹敵するほどの魅力があります。―― 少なくとも私には。(中略)これがもし、ヴェネツィアのアッカデミア美術館にあったら、見る者にとっては便利でしょうが、―― でも、それは絶対にいけません。この絵を見るために、私は何ものも厭わずに、きっとまた戻ってくるでしょう。」(『宮下孝晴の徹底イタリア美術案内(1)北イタリア』から)
そのカステルフランコのたった一点のジョルジョーネである《カステルフランコ祭壇画(玉座の聖母子と聖リベラーレ、聖フランチェスコ)》が、アカデミア美術館に特別展示されていたのだ。当然、私の目はその祭壇画に釘付けになってしまった。当時のブログを読み返しても、その時の興奮の余韻が感じられる。
ジョルジョーネ《カステルフランコ祭壇画(玉座の聖母子と聖リベラーレ、聖フランチェスコ)》(1504年頃)サン・リベラーレ聖堂(コスタンツォ家礼拝堂)
私は未だカステルフランコを訪れたことがない。そして、今だからこそ思う。アカデミア美術館で出会ってしまったことは、果たして幸運だったのだろうか?と…。